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パンジー/1 ページ3

_姫城 風朱の物語_


愛を求めるお話


母「なんでそんなことも出来ないの!」
父「…お前なんていなくていい」



これがあたしの親の口癖だ


『暴力』これが我が家では"普通"なのだ


いつからだろう、こんな家が嫌でよく家出をし喧嘩に明け暮れていた


姫城『おらァ!』


今日も喧嘩をしていた
男だろうが容赦はしない


メリケンを付けて殴り掛かる


姫城『チッ この程度かよ。』


相手を倒しても優越感も達成感も感じられない
満たされない心

それは喧嘩で埋められるものでは無い



そんなことは気づいてる

でも…


?「ねぇ、喧嘩してて楽しい?」


いつの間にか背後に知らない女が立っていた


姫城『! 誰だよお前?』

?「ふふ、それより喧嘩してて楽しいの?貴方。」

姫城『嗚呼、楽しいさ。』

?「そう?私にはそんな風には見えないわ。虚しくないの?」

姫城『うるせぇ!』


きっと虚勢に決まってる、殴るフリをすればどこかに行く

そうに決まってる


話しかけてきた女を殴ろうと拳を振り上げるが、女はどかなかった


?「貴方はきっと優しいのね。」

姫城『…なんで』

?『貴方は私を本気で殴らないと思ったからよ。ねぇ、空っぽの心は暴力じゃ埋められないわよ?』

姫城『知ってんだよ、んな事くらい!』

?「そう、じゃあ私のところに来ない?」

姫城『はぁ?なんであたしが…』

貴『貴方が必要だからよ。私貴方のこと気に入っちゃった。なんなら衣食住も付けるわよ?』

姫城『ちょ、ちょっと待てよ!なんでいきなりそんな知らない奴を助けようとするんだよ?』

?「んー、強いていえば貴方と私は似てるからよ。」

姫城『…そんな偽善は要らねぇ。』

?「なにを言ってるの?私は本気。」

姫城『うるせぇ!』


殴りかかろうしたが簡単に躱され抱きしめられた


姫城『なっ!』

?「今の貴方に必要なのは帰る場所。私のところに来なさい。今よりずっと楽しくて孤独なんて言わせてあげないんだから。」

姫城『訳わかんねぇよ。いきなり来いだなんて…』


暖かい…これが温もりってやつか?

今まで人に必要とされてこなかった
だけどこの人はあたしを必要としてくれる

こんなあたしをだ


気がついたら涙が出ていた


?「あら、貴方暖かいのね。どうする、私のところに来る?」


あたしを離して手を差し出された


気がついたらその手を取っていた

?「決まりね。」


こうしてあたしはこの人と出会ったのだ

足元にはパンジーの花が1輪咲いていた

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作者名:零音(れいん) | 作成日時:2019年9月9日 13時

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