彼の本質 ページ19
RYOサイド
どうしても引っかかる。
翼くんは本気でAのことを好きなのか。
何故あんなに俺の事を睨む?それだけ本気ってことを表しているの?あんな酷い噂ばかりなのに?
Y「りょう?練習始めるぞ?」
R「あぁ、うん!」
俺は鏡の前に立った。鏡に映る全員の姿。そこにあるのは2人が仲良くしている事実。別に構わない、Aが誰と仲良くしようが。それはAの自由だから。でもやっぱり…
S「りょうちゃん、」
隣のしらはんから声をかけられる。驚いて大声が出そうになったけどぐっと堪えた。
S「Aならきっと大丈夫だよ。騙されてない。」
R「そう、だよね…」
ゆうまの方を見ると、面白くなさそうな顔をしている。そりゃそうだよね、今までゆうまと仲良くしていた時間も翼くんに奪われているんだから。
「先輩?どうしました…?」
違和感に気づいたのか、Aが振り向いて俺らに問う。一方の翼くんは表情を一切変えない。
Y「なんでもないよ、A、教えて?」
「はい!」
眩しい笑顔が返ってくる。ほんと、かわいい幼なじみだと心の底から思う。自慢の幼なじみだ。
_「…あ、もう時間ですね」
今日の部活の時間は午前中のみ。着替えたりする時間も含めたらもう終わりの時間だ。今日は早いな。
K「ほんまや。初の休日部活楽しかったです!」
翼くんはこの後も用事があるらしく、着替えてすぐに帰ってしまった。部室には今までのメンバー。
Y「…A、どうしたの。」
「え?何がですか?」
一目散にゆうまが質問を問いかけた。それにくいつくように、しらはんと俺も話を聞く。
Y「元々西浦とあんな仲良かったっけ…?」
「いえ。」
R「じゃあどうしたの?俺らで前話したじゃん、危険だよって。それに帰り2人の時にも。なのに…」
「…私は、彼の優しいところを見ました。おそらく素やと思います。だから試したんです。それをきっかけに私が彼に優しくなれば、彼は調子にのるか、変わらないか。答えは2つ目でした。だからきっと無意識で優しさを見せてくれたと思うんです。女の子関係はどうであれ、彼自身の優しさを否定はしたくない。彼の本質はどこか、探ってみようと思って。」
Aの答えを聞いて、全員が納得の表情。確かに俺らは噂を完全に信じきって彼を“悪”として見てしまっている。それにAが先に気づいただけか。
「それにその噂は、あくまで前の話。今は騒がしい女の子たちを嫌っているようなので…。」
…騙されてたのは、俺ら側だったのか、
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作者名:まい | 作成日時:2020年10月14日 17時