ずる賢い ページ12
Aサイド
「…どうしてあんなこと言ったんですか」
K「別にええやろ、それくらいのことなら。」
次の日の放課後。先輩たちは放課後に進路相談が
あるらしく、今日は西浦さんと2人きりの部活だ。
正直、こんなにも最悪なことはない。
K「…最悪やなぁって思ってるんやろ。」
「当たり前ですけど。それ以外何があります?」
K「相変わらず俺には冷たいんやなぁ」
いやいや当たり前でしょ、と1人でツッコむ。
突然絡んできてキスまでされて…嫌う理由しか
揃っていない気がするんですけど?
「…ここの4人構成、編成難しい…」
正直、偶数からの奇数編成は痛いところ。偶数
から偶数ならまだペアを作れるから希望がある
けど、奇数は下手したら1人だけハブ感あるし。
K「ほんならここをこうするのはどうや?」
私の持っていたペンを奪い取り、別の白紙へと
構成を描いていく西浦さん。その構成は今まで
思いつかなかったような構成で、見直した。
K「こうして俺が前に出ればさバランスええやん」
「…確かに。」
K「そんでもってこのあとは俺が後ろに下がって
先輩らを前に出すって構成もありなんちゃう?」
ダンスについて真剣に語る西浦さんの横顔は、
イケメンと呼ばれるだけあってカッコよかった。
K「んで、ここでAの1人サスに変更してさ。」
「え、私の1人サスはさすがに、ねぇ…」
大会当日でスポットライトを1人で浴びるのは
いくら私だとしてもなかなかに恥ずかしい。
K「もっと自信持てや。お前なら大丈夫。自分さ
表現力すごいことに気づいとらんの?基礎もな
ってるし、お前やから言えるんやで。」
「…私、西浦さんにダンス見せたことあります?」
K「…!」
図星。なんだろうけど、どうしてこの人は私の
ことを知ってるんだろう。何処かで出会った?
いやでもそんなはずない。記憶にないしな…。
K「…顧問から聞いた話や。」
「嘘。絶対そんな話してないでしょ。」
K「うるさい口は塞ぐで。」
今度は私が黙る番だった。この前の記憶がフラ
ッシュバックされる。あんなことされるのは、
二度とごめんだ。だから私は沈黙を続けた。
K「…ええ子やな」
なんて言って頭を撫でてくるあたりタラシだ。
K「ほな、続きの構成考えよか」
結局その日は最終下校時刻まで2人で部室に残り
構成を行っていた。先輩たちに気に入ってもら
えたらいいなぁ、なんて思っちゃうけど。
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作者名:まい | 作成日時:2020年10月14日 17時