最終列車。【煉獄杏寿郎】

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これは夢？
夢にしては覚めない。


「よもや、任務前に会うとは珍しいな！」


もうこれに慣れてしまっているようで
そして何となく、もう全部分かってしまった。

『今日の柱合会議ぶりですね〜
途中までご一緒しても？』

言葉は記憶のように勝手にでる。
そして嫌な予感しかしない。


「俺は列車の任務だ！
十二鬼月の可能性が高い！」
『これはまた過酷な任務に…。
健闘を祈ります』
「それはお互い様だな！！」

別れた場所は列車の切符売り場。
彼が列車に乗り込むまで見送った。

見送って、俯いて、下唇を噛んで

そして私は重い足を持ち上げて自分の任務へと向かう。


任務が終わって屋敷に戻ってすぐの事だった。
私の元に彼の訃報が届いたのは。



「また行こう」が、叶わなかった。

私が臆病だから、なかなか前に進めなかった。

自分を知ってもらおうとすらも出来なかった。


たった2文字。「好き」が言えなかった。


泣いて、泣いて、泣いて
涙を拭って
また泣いて
空を見上げて

やっと言えた「好き」の言葉は
どうしようもなく震えていて
伝えようとしていないのかという程にか細くて
その癖、私に思い出として焼き付けるように心に留まった。

「好き」の感情は「後悔」に変わった。

何も出来なかった私への後悔だ。

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