最終列車。【煉獄杏寿郎】

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『あの、煉獄さん…！』

私の視線の先には不思議な服を着ている好きな人の姿があって
私の横では「大丈夫よ！！」とピンクの髪を揺らしながらドンと胸に拳を当てる女の人がいた。

私もみんなと同じような不思議な姿で
そして帯刀していた。

「む？Aか！どうした！」
『えっと、あの…』

知ってる。知ってるよ、
1度乗り越えたこの緊張。

それなのに私の口から出た言葉は

『やっぱりなんでもないです！じゃあ、また！』

なんて言葉。

意気地無し。
彼に背を向けて歩きながらため息しか吐いていない。
あんな風に背を向けて、どう思われた…？

そんな自己嫌悪と一緒にせり上がってくる思いはこれまた覚えがあった。

ーまた行こう。はどこ行った？

おかしいな。不思議だな。
初めて見る顔のはずなのに初めてではない気がした顔ぶれ。
先程の場にいたのは何人程だろうか。
10人弱の場で、もう1人後ろを向いていた人に見覚えがある気もした。

また行こう、それは煉獄さんと、歌舞伎を見に行った時のことだ。歌舞伎を見に行ける時間なんて早々取れない。だから食事だけでもまた行こうと。

…不思議な思い出だ。

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