最終列車。【煉獄杏寿郎】

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昼休み。
俺は職員室の自分の机にて、携帯と睨めっこをしていた。


どうもおかしいのだ。
文章を入力しても送れない。
何故だ。

あの時は誘えたはずだ。
なんなら連絡先も自分から交換を申し出た。


それなのに今はなんだ。
何も送れていないではないか。

誘い文句を考え、入力しては不自然だ。と文字を消していく。
ずっとその動作を繰り返していた。


"眺めのいいカフェを見つけた！
良かったら一緒にどうだ？"

"新しく出来た水族館に行こうと思うのだが"

"息抜きにドライブでも"



…ダメだ。
カフェなんてのは既に友達と行っているかもしれない。
水族館も何故自分が？と思うかもしれない。
ドライブと言うとそもそも、どこへ行けば良いのかが分からない。

いやまずAがどこへ行きたいのかも分からない。
好きな場所も分からない。


そんな調子で数日。
あれから何も連絡を取っていないのだ。


｢煉獄、珍しいじゃねぇか
そんなずっと地味に携帯と睨めっこしてるなんて
Aか？｣
｢うむ、どこかへ出掛けたいのだがどうにも誘えん！｣

そう言うとあからさまにニヤニヤとしだした宇髄。俺はなにかおかしなことでも言っただろうか？

｢んなのは自分で考えろよなー、
ま、アイツならどこでも喜ぶと思うぜ？
すぐ両想いになれるんじゃねぇの？｣

宇髄は何を言っているのか。
最後は

｢後悔しねぇようにな｣

と耳打ちして職員室を出ていった。

何もわからん。
俺はただ仲良くなろうと思っているのだが

宇髄はどういう意味でそう言ったのか。
全くもってよく分からなかった。

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