好きだから離れていてくれ【煉獄杏寿郎】 (ページ27)

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悪い夢ページ27

『ｯｯ...はっ...ぁ...』

朝、心臓が抉られるような気持ちになるなんとも怖い夢で目が覚めた。

列車...横転...鬼...杏寿郎さん......

死...

いつもなら夢のことだと気持ちを落ち着かせることが出来るが
今は不思議なことに、夢の中のことだと思えなかった。

どうしよう。本当にそんなことが起こってしまったら...私...

店に出ていつも通りお手伝いをするも、
常連さんから｢今日は顔が暗い｣｢体調わるいか？｣などと聞かれてしまっていた
夢のせいなんて言えることも無く
この不安はどうにもならずにお店の閉店時間が近づいてきた。

｢A！｣
『きょう...じゅろう...さん！』

ずっと不安だったからなのか、杏寿郎さんを見るとすぐに駆け寄って抱きついて泣いてしまった。

｢よもや、何かあったかのか？｣

杏寿郎さんは優しく抱き締め返してそう聞いてくれた。
...言った方が...いいよね。

『奥の個室で話しましょう』

そう言い、杏寿郎さんを奥まで連れていった。

『今日の朝見た夢のことなんです...そんなのに振り回されるなって感じですけどね...』

列車に鬼が出て、杏寿郎さん達が戦い、最後に違う鬼が出てきてその鬼に杏寿郎さんが殺されてしまうという夢を見たことを伝えた。

｢よもや...A、落ち着いて聞いてくれ｣

杏寿郎さんが真剣な顔になった。
心臓がドクリと音を立てた

｢今日、ちょうど列車の任務を命じられた。
短期間でたくさんの人が行方不明となり、送られた隊士もたくさん消息を経ってしまった。
だから柱である俺が行くこととなった。｣

あぁ、このままだと杏寿郎さんが...
そう思うと涙が止まらなかった。

｢元々十二鬼月の可能性があるとされていたが、その後に違う鬼が来て俺が殺される。そうなると上限が出てくる可能性も出てきたということだ...｣

杏寿郎さんは少し笑顔になり、私の頭を撫でながら言った

｢もし、俺が死ぬこととなったら、その時はきっと俺は責務を全う出来たということだろう。
...しかし、俺はAを置いて死ぬことなど出来ない。Aの夢が教えてくれたのかもしれない。他の柱にも同行して貰えるよう御館様に頼んでみるとする。｣

きっと大丈夫だと私の横に来て抱きしめてくれた。

｢A、俺が生きて帰ってこれたら

俺と結婚してくれないだろうか。｣

『もちろんよ...！お願い、生きて帰ってきてください...』

そして別れ際はあの時のように、唇を重ねて別れた。

これが最後になりませんように...