負傷のおかげだった。 ページ10
「はい。足と肋骨1本骨折していますので、3週間は、ここで休養ですかね〜」
『3週間...ですか...』
無傷で倒せるはずだった鬼に血鬼術をかけられ、体が固まった隙に攻撃されてこうなった。
攻撃された瞬間に血鬼術が解けたため、そのまますぐに頸は斬れたが、やはり骨が折れていた。
なんもやることないのでとりあえず編み物をすることにした。
3時間程経っただろうか。
『できた...』
1つ帽子が完成した。
次はお裁縫道具を取り出して、お人形を作ることにした。
「よもや!A少女、奇遇だな!」
『...炎柱様!?』
炎柱様が笑顔で私の寝台に近づいてくる。
「むっ、これは帽子か!A少女が作ったのか!器用だな!はっはっは!」
『ありがとうございます...!』
ここで初めてじっくりと話すことが出来た。
炎柱様は20歳らしく、私は16だと言うと、大人っぽいからもう少し歳が近いのかと思っていたと言われた。
炎柱様の家族は、今は父と弟と3人で暮らしていること、母は幼い頃に亡くなったこと。
私の家族は私を置いてどこかへ行ってしまったため、元々住んでいた家で一人暮らしをしていることを言うと、今度家へ来るといいと誘われた。
やはり炎柱様は優しいと改めて思った。
後は好物の話。
炎柱様はさつまいもが好きだという。さつまいもの味噌汁とか。
私はみかんが好きで、みかんが食べられるから冬が好きだとか。
「それなら、A少女が退院した時甘味処へ行こう!」
『えっ!?』
「むぅ、嫌だっただろうか?」
『い、いえ!むしろ嬉しいっていうか...』
「うむ!ならよかった!では俺は帰る!」
甘味処へ行く約束をすると、すぐに炎柱様は帰っていった。
『あぁ...どうしてくれるんですか...この気持ちは...』
いつも以上に高鳴る心臓を抑えてそう呟いた。
やっぱりどんどん好きになっていく。
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作者名:Ka:ran | 作成日時:2020年12月26日 16時