旅行 ページ39
今、列車に揺られている。
列車はあの任務以来だ。
車窓から外を眺めていると、私の肩に実弥が寄りかかってきた。
『...実弥?』
顔を覗き込むと、すやすやと眠っている。
そう言えば楽しみであまり眠れなかったなんて言っていたな。
私も寄りかかっている実弥の頭に顔を置く。
髪の毛が頬に擦れてくすぐったい
『...常中...癖になってるよなぁ』
実弥は今も呼吸は全集中常中していた。
まあ私も癖になってずっと全集中だったりするけれども
そう言えばあの任務の時の鬼の血鬼術で眠った時
今の逆の体制で寝ていたっけな。
懐かしいなぁ...
『今どんな夢みてるのかなぁ...』
外は夕暮れ時。
目的地に着く時にはもう夜だな
私もそのまま目を閉じると、列車の揺れが心地よく、そのまま眠りについた。
「A、起きろォ、着いたぞ」
『んぅ...ふぁぁ...着いたかぁ』
席を立つと実弥に手を引かれて列車を降りる
「A、月が綺麗だなァ」
『そうだね、月が綺麗だね』
月が綺麗ですねって、愛していますって意味だったっけ。
洒落てるな
『宿はどこ?』
「こっちだァ」
そのまままた実弥に手を引かれ歩く。
そう言えば荷物全部持たせてしまっている...
『ねえ、私の荷物...』
「俺が持つから大丈夫だァ」
こっちを振り向いてニコッと笑う。
恐らく何度も惚れ直してる
笑った顔、気遣いできるところ、たくさん愛を伝えてくれるところ
昔の私には考えられなかった
それを実弥はたくさん教えてくれた
『ほんとに、......』
「なんだァ?」
『...いや...』
実弥は素直に伝えてくれてるのに私は伝えなくていいの...?
『いつもありがとう。大好き...です』
「急に言われるのはなァ......」
『実弥いつもそうじゃん』
「Aは言葉ではなかなか言わねェし」
『素直じゃなくてごめんなさいね』
実弥の耳はほんのり赤くなっていた。
「着いたぜ」
『ここかぁ、いい雰囲気の宿だね』
「元々藤の家紋の家だァ。
任務の時にここで1度お世話になってなァ...
部屋からの景色が最高だからAにも見せたくてよ」
そう言われて入ると、私達を見るなり
「不死川様方、最後まで鬼を狩り続け、鬼の始祖まで見事倒したこと、心より感謝しております
御二人は柱として前線に立ち、ご活躍をされたと伺っております。今までありがとうございました。感謝してもしきれません。」
と深々と頭を下げ、お礼を言われた。
150人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ka:ran | 作成日時:2021年1月19日 17時