幸せ ページ24
...あたたた...
こいつやりやがった。腰痛てぇ。
「すまねェな。やりすぎた」
『はぁ...ほんとだよ...』
でも幸せな夜だったとは思う。
『朝餉作んなきゃなのに痛くて立ち上がりたくねぇ』
「んじゃあもっと寝てればいいだろォ」
『お腹空かない?』
「大丈夫だァ」
『...ならいっか』
そのまま実弥の胸に顔を埋めて目を閉じる
傷跡は少し痛々しいけれどもそれすらも愛おしく感じる
うん。末期かな。
実弥の心臓の音と体温、呼吸音
全部が私をもう一度眠りへと誘う。
『暖かいね』
「そうだなァ」
私の背中に回っている実弥の腕が一定のリズムで優しく私の背中を叩く。
その動作にまた安心を覚え、
また眠りにつく。
【実弥side】
Aは俺の腕の中で寝息を立てている。
とても幸せな時間だ
こんな華奢で、強く抱いたらすぐ壊れてしまいそうな
そんな体で俺達と肩を並べて鬼と戦ってるんだよな
その小さな体に、独り身がいいと強く願う程の辛い思い出が詰まってるんだよな
Aは後輩を、仲間を守ろうと動く
それ故に自分の身を疎かにする事もある
「俺がAの事も絶対に守ってやる。
家族なんだ。俺に守らせてくれ」
そう呟くとAの頭が俺の胸に擦り着いた。
その動きがなんとも可愛く見える
「全く、罪な女だぜェ」
絶対誰にもとられたくねぇ。
そうこれまで以上に強く思った。
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作者名:Ka:ran | 作成日時:2021年1月19日 17時