鬼殺隊に入れなかった少女が魔法学校に入るそうです

不可思議パラダイス！ ページ3

〜監督生side〜


波乱に満ちたマジフト大会も、最後には満足いく結果に終わった。


が、僕達は笑顔で終われない。



競技に関係なく汗水垂らしながら必死に働いている最中である。





もちろん



今回のオーバーブロットに関わる者達だけで、だ。




リドル先輩達は犯人を見つけたことで免除された。


不公平だとブーイングをかますが


「食堂で暴れて壊した食器などの弁償だと思ってください」と言われ、気づけば黒い羽を残して消えていた。



「足元みやがって…、！」


雑巾に力をかけ、パイプ椅子をゴシゴシと擦る。



ポツリと呟いたこの嘆きはエースに拾われ


「それな〜！？」



と共感されるが、ジャックに


「足元見られるようなことばかりしてきたてめぇらが悪ぃだろうが…。」



と一蹴された。



グウのネも出ないとはこのことか…？？



ラギー先輩はレオナ先輩を働かせようと声をかけているが、しっぽが揺れるだけで何もしない。



デュースなんて逆にやる気が出ている。



項垂れていると突然ドアが開き、学園長が入ってきた。


「いやー皆さんお疲れ様ですね！｣



ホクホクと嬉しそうな笑顔でこちらにやってくる学園長。


「あ〜あ…。誰かさんのせいで頭痛いな〜…。」


「誰かさんのお願いで、犯人探ししたのになぁ〜…。」


泣き真似をしながらチラリと様子を伺う


「もうこーんなに片付いたんですね！感心感心！」



彼は気にもとめずにみんなの仕事を見て回っていた。



「さあ監督生くん！君にはもう少しだけ働いていただきます！こちらへ来ていただけます？」



「はあ！？」



みんなはニヤニヤしながら「頑張れ〜」だなんて言っているが、僕は頭にボールが当たった筈。


「横暴だ〜〜！！」





──────

───

─





コツコツと廊下を歩く音が響く。



現在の時刻は午後9時半。



夜の静けさも相まって、不気味な雰囲気が漂う。



「で？僕はなんの仕事をすればいいんですかね学園長。」




先を歩く学園長にぶっきらぼうに聞けば、いきなりピタリと止まり、こちらを振り返る。


そこにはいつも浮かべる胡散臭い笑顔が消えていた。


月明かりに照らされ余計に、真剣な顔に見える。


「異世界から来たあなたに、少し手伝っていただきたいことがあります。」



この時点で嫌な予感はしていた。


彼の口から放たれる言葉が全てゆっくりと感じられる。


「新たなる異世界人が、今夜やってきます。黒き馬車に迎えられて。」

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