14輪*呼び方と呼ばれ方と ページ14
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side:you
「え、」
「あー……今のは、そういうんじゃなくて」
遠慮なんかすんなよ、って。
中島選手が不機嫌そうにそう言うから、
思わず身を竦めてしまった。
だけど、中島選手はまた普通に戻って、
「……普通に、接してほしいっていうか……プロ野球選手やと思って見てほしくない、っていうか……」
そう言って頰を掻いた。
そっか、そう……だよね。
プロ野球選手って、一般人からしたら
夢の職業だし、腰が低くなりがちだけど。
そういうのが、窮屈だって思ったりする、のかな。
だったら、私は。
「わかりました。……じゃあ、」
「ん?」
「卓也さんって、呼んでもいいですか?」
中島選手、じゃ堅苦しいですし。
そういう事を言えたのは、彼が、
思った以上に気さくで優しい人だったから。
「卓、でよかよ。皆そう呼んどるし」
ほらね、……優しい。
じゃあ、卓さんで。
そう言って笑うと、卓さんも私に向き直って、
俺は何て呼んだらいい? って。
「お好きなようにどうぞ!」
「……じゃあ、A……ちゃん、で」
「……、」
名前を呼ばれるくらい普通な筈のに、……何故か、
照れてしまって、黙ったまま俯いていると。
……ダメか、なんて中島選手──いや、卓さんの
ため息混じりの声が聞こえて。
思わず赤くなったままの顔を上げると、
卓さんの顔は、私よりずっと赤かった。
「……え、と……それで、大丈夫……です」
「おう、」
お互いなんだかぎごちなくて。
沈黙の時間が流れるけれど、全然苦じゃなくて、
……むしろ、なんだか擽ったかった。
「あ、Aー!」
いたいた!
とこちらへ駆け寄って来る人影があった。
丁度さっき呼び出した、西崎ちゃん。
「何のいたずら? 中島卓也と西川遥輝とご飯、なんて……って、」
──……嘘。
へらへら、っと笑ってた西崎ちゃんの目が、
私の隣の人を捉えた瞬間。
口元を覆って目を見開いて、
心底驚いたように立ち尽くしていた。
私と卓さんはそんな西崎ちゃんに
顔を見合わせて苦笑いして、五分かけて
一生懸命理由の噛み合わない説明をした。
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雛(プロフ) - こばさん» こばさん初めまして^^* わわわ、ありがとうございますっ(*´ω`*) きゅんきゅんしてもらいたくて書いているので、そう言って頂けると凄く嬉しいです!! 是非これからもよろしくしてやって下さい〜(;;) (2017年7月25日 18時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
こば(プロフ) - 初めましてです!この作品すごい、大好きです(o^^o)めっちゃキュンキュンします(o^^o)これからも応援してます! (2017年7月25日 0時) (レス) id: 7ad089bd9c (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - ちあさ〜ん( ´ ▽ ` )ノコメントありがとうございます! とっても嬉しいです^^* またこちらからも、ちあさんのお話読みに行かせて頂きますね〜* (2017年6月28日 22時) (レス) id: 62adc32062 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - 雛さん〜!ちあです◎卓さんのお話、ようやく読めました。二人の距離が少しずつ少しずつ縮まっていく様子ににやりとしてます。優しい卓さんが素敵です*更新頑張ってくださいね(*`・・´*) (2017年6月26日 5時) (レス) id: a31e2faf9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛* | 作成日時:2017年6月18日 17時