ヒプマイ短編集 (ページ3)

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その後、スーパーで一緒に買い物をして家に帰る。
しかも、今日のお礼にとAさんがオムライスを作ってくれるそうだ。
なんつーか、神イベきたわ。
二郎と三郎も喜んでいるようで、料理しているAさんの周りを何か手伝おうと動き回っていた。

出来上がったオムライスをみんなで食べてから、俺が洗い物をしている間にAさんは、三郎の勉強を見たり、二郎とゲームしたりしていた。

もうこれ家族だろ......
そう思うが、時間は過ぎていく。
そろそろAさんも帰らなきゃいけないはずだ。
2人も名残惜しいようだが、仕方がない。
送っていきます、と言うと一度断られたが、買い物した荷物もあるからと押し切った。

夜道を2人で歩く。
「すっかり遅くなっちまった......すみません」
『大丈夫だよ、明日もお休みだし、すごく楽しかったし！』
「それなら良かったっす。またいつでも来てくださいね」
『あ、うん、時間合えばお邪魔するね』
なんか、長い時間一緒だったからか、いつもよりAさんとの距離が近く感じる。

これはもしやチャンスなのでは？
「......あの、Aさん」
『ん？』
「えっと......あー」
『山田くん？』
「それ！！」
『えっ』
「その、山田くんっての......やめないっすか」
よし！言った！！

『あ、えっと......ごめんね、馴れ馴れしかったかな？前みたいに山田さんなら良いかな？』
「は」
いや、違うだろ！！
なんでそうなる！？
『気付かなくてごめんね』
「っ......一郎って呼んで欲しいんですけど！！」
思わず声が大きくなる。
言ってから、自分の顔に熱が集まる。
くそ、こんなつもりじゃ無かったのに......！
『えっ......と』
けど、ここまで言って引くわけにはいかねぇ。
「その、恋人のフリしてた時みたいに、呼んで欲しい......っす」
『あっ、え、そっちかぁ、びっくりしたー。ごめんね、変な勘違いして』
「いや......」
『うん、分かったよ、思えば二郎くんと三郎くんも名前で呼んでるもんね」
「そっすね」
恥ずかしさから、少し素っ気なくなってしまう自分を殴りたい。
でも、分かった、って言ってたし、今度から俺も名前で呼んでくれるはず。

呼んで欲しいと思いながら歩き続けてると、Aさんの家に着く。
『あ......荷物、ありがとう。疲れたよね、お茶でも飲んでいって』
「えっ」
思っても無かった誘いに、つい聞き返してしまった。