３２ ページ33
なんか、前世でもこんな感じだったな、と懐かしく思う。
みんなと仲良くやれている、て思ってたし、少し嫌なことがあっても笑顔で乗り切れば周りのみんなも笑顔でいてくれた。
でも、そんなことしても周りのみんなは私のことを友人とは思っていなくて、結局は都合の良い人間でしかなかった。
悔しかった。
私はこんなにも必死に生きているのに。
でもそんな生活に転機がきた。
それは大学入学と同時に始めたギター、ベースだった。
少しずつ練習を重ね、SNSで発信すると思っていた以上に反響があったし、大学で同じ趣味の人間と出会って、人生で初めての”友達”ができた。
初めて気を使わなくても良い存在に出会えた。
相手は私のことを友人とは思っていないのではないか、と心配する必要のない存在に出会うことができた。
とても幸せだった。
幸せだったのに、
私は誰かに背中を押されて車道に飛び出し、死んだのだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
前世のことを思い出すと、悔しさ、寂しさ、心細さで涙が止まらなくなってしまった。
目は真っ赤だろうし授業に出る気も起きない。
いっか、今日ぐらいサボっても。…みんな似合うのも気まずいし。
前世のことを思い出すと、今まで大好きだった友人たちのことを疑ってしまってしょうがなかった。
そもそも、原作では私の存在なんてなかった。
いなくても良い存在ではある。
だって私がいなくたってストーリーは進んでいくのだから。
『あーあ、あほらし』
すごい、前の世界に戻ったみたい。
無意識に念じていたのか、部屋のレイアウトは自分が一人暮らしをしていた時の部屋になっていた。
ふとここが必要の部屋であったことを思い出す。
私が唯一信用ができるバンドメンバー全員で寄せ書きした、この世に一つしかない大切なギターが壁にかかっている。
いつの間にか出てきていた紅茶の入ったカップを横目にそのギターの方へ向かおうとすると、前世では絶対に置いていなかった大きな鏡が視界の端に入った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふゆ(プロフ) - 初めまして、とても面白い小説で続きが気になります…！！もしよろしければパスワードをお教えいただけませんか？ (4月5日 0時) (
レス) id: 484893ce06 (このIDを非表示/違反報告)
夏霞(プロフ) - 初コメ失礼致します〜！素敵な作品で一気見してしまいました。いつまでも待っておりますので、主様の納得のいく続編が完成しましたらパスワードをお教え頂けると幸いです！(><)本当にいつまでも待ちます… (2月12日 23時) (レス) id: f863bb6ae2 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - とてもおもしろくて一気に読み進めてしまいました！続きが読みたいので、ぜひパスワードを教えていただきたいです！ご検討よろしくお願いします！！ (2月6日 23時) (レス) @page42 id: e860957a7b (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - すごく面白くて続きが気になって仕方がありません！！パスワードを教えていただきたいです！ (2月6日 14時) (レス) @page42 id: 17a9c06ee5 (このIDを非表示/違反報告)
み - 題名に惹かれて一気に読み進めてました！続編を読みたいので、パスワードの方を教えて頂けたら幸いです。 (2月5日 10時) (レス) @page42 id: 678fe28f56 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いろか | 作成日時：2023年12月18日 16時
