佰漆拾頁─決戦 7─ ページ37
海へと落下しかけた敦を助けたのは芥川だった。
彼等の関係を知る者であれば目を疑うような光景。
芥川は異能を使って衣服を敦へと伸ばし、上を向く足に絡みついた。
無論、その伸ばされた衣服はただの布などではない。
敦は足を引き上げられた反動でキッと目を見開き、喉の奥から声を吐き出しながら羅生門の上を駆け抜けた。
その天に轟くような叫びは、曇りない彼の心の底からの叫びだった。
“若し、彼の云う通りなら。若し今日、この荷物を降ろしても善いのなら。僕は────”
敦は残っている力の全てを右手に込めるために強く堅く握りしめ、虎の鋭い眼光でフィッツジェラルドを視界に収める。
芥川も残る力を振り絞り、羅生門を敦の躰へと巻きつけた。
《月下獸羅生門、虎叢》
二人の渾身の一撃をフィッツジェラルドは避けられない。
彼の強化された身体でもその威力を受けきれず、酷く内蔵を損傷し吐血する。
ドォッっと空気が揺れた。
フィッツジェラルドは白鯨に叩きつけられ、硬い音を伴い装甲を滑っていく。
一方、攻撃をした敦は糸が切れたかのようにふっと躰の力が抜け、そのまま抵抗無しにゆっくり白鯨上へと自由落下した。
彼にはもう立ち上がるほどの体力は残っていない。
意識が朦朧とする中、敦は風の吹く音を遠くの方で冷たく聞いた。
「(限界だ...もう腕も上がらない......若しこれで奴が立ち上がったら......)」
目だけを動かし、朧気に一点を見つめる。
薄らとかかった霧。
その奥には一つの人影。
その人影は二本の足で確かに立っていた。
「勝ったぞ...ゼルダ...」
独り言のように呟くフィッツジェラルドを敦はただ見つめることしか出来ない。
思わず顔が恐怖に歪む。
フィッツジェラルドが一歩足を踏み出す。
しかしそのタイミングで彼を異能の効果切れが襲った。
躰を支える足がふらつき、数歩よろめく。
「待っていてくれ...もう一度、君に幸福を......」
彼は何かを掴むように空に手を伸ばした。
或いは、それは無意識的なものだったかもしれない。
敦の攻撃により白鯨の端へと飛ばされていたフィッツジェラルドは足を踏み外し、二人の視界から消え去った。
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まんじゅうねこ(プロフ) - 煉華☆さん» ゲームでの名前は其の侭「まんじゅうねこ」です!ありがとうございます! (2018年11月2日 17時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - まんじゅうねこさん» 初めまして、こんにちは(*^^*) フレンドは大丈夫ですよ!「4555 8960 3456」←こちらでいけると思うので、ゲームでの名前を教えていただけると助かります。コメントありがとうございました! (2018年11月2日 17時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - すいません、文マヨのフレンド申請を送っても良いでしょうか……。 (2018年11月2日 16時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ありがとうございます!風花楓音で申請しました! (2018年9月30日 10時) (レス) id: cdcff714b1 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - のんさん» こんにちは!大丈夫ですよ(*^^*) コメント欄にIDが書いてあるので、申請して貰えたら嬉しいです。 (2018年9月24日 14時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/renka_kazetani
作成日時:2018年7月14日 17時