6.一目惚れ. ページ7
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爆豪side
高３の夏休み。
ババアに遠出のお使いを頼まれたから電車で出かける。
特に誰かと会う約束でもねぇからとジーパンにTシャツとラフな格好をする。
スマホとイヤホンと預かった金を貰って家を出た。
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遡ること15分前
高校入試のために勉強をしていて疲れたからお茶でも飲もうと1階に降りると、
「勝己ー！休憩がてらに買い物行ってきてくれないー？
いつも使ってるシャンプーが切れちゃって、いつものところがいいのよね」
「あ？ンだめんどくせぇな」
「誰に向かって言ってんのよ、」
と頭にゲンコツを食らう、いてぇ。
ま、勉強してばっかでも頭に入んねぇしと、仕方なく家を出る。
頼まれたものをスマホで確認しながら買い物を済ませる。
ついでに学校で必要なノートやらが切れたから買い足そうと文具屋に足を運ぶ。
全て用事が済んで家に帰ろうと思い駅まで向かおうと外に出ると、あたりは真っ暗だ。
思ったよりも買い物に時間を使っていたらしい。
まぁ、最悪個性でぶっ飛ばせば特に問題は無いだろうと最寄り行きの電車に乗る。
何分か電車に揺られ、最寄りで降りる。
さっさと家に帰ろうと改札口に向かう。
ﾊﾟｻｯ
目の前を通り過ぎようとした女がハンカチを落とす。
普段なら拾う余地もないが、自分の足元に落ちてきたので知らねぇ女が自分の近くに来るのも鬱陶しいと拾い上げて女に返す。
「あっ、」と小さい声を漏らした女の顔をふと見る。
淡いピンク色の後ろで束ねられた髪、髪色に似たクリクリとした瞳、整った容姿。
今までに感じたことの無い鼓動だった。
“ドクンッ”
胸が高鳴った。この俺がたった一度、それも偶然会った女にあるはずがないとは思った。
だが、不意に思った可愛い。
一目惚れだ。
「あ、ありがとうございましゅ」
女は何を噛んだことを恥ずかしく思ったのか焦った顔をして立ち去っていく。
胸が高鳴ったまま動揺で動けなかった。情けない。
家に帰ってぼーっとした頭で、考える。
あそこの駅だったら、どこ中だ？いや、高校生なのか？
その日はその女のことが頭から離れなかった。
だが、最難関の高校に入学するはずの俺がたった1人の1度会っただけの女に惚れた？
そんなはずがある訳無い。
そう言い聞かせその女の子のことは忘れる。
ただそれは一時的に言い聞かせていただけで、後にまたその感情を思い起こすことにはなるが…。
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作者名：嫁姫 | 作成日時：2022年1月16日 19時
