1話 ページ2
母と慕う彼女は親ではない
共に暮らす彼らは兄弟ではない
ここ、グレイス=フィールドハウスは孤児院で
私は孤児でいつか里親と暮らせる…そう思えたらよかったのに
朝、まだ可愛らしい寝息が聞こえる中
廊下にスリッパの擦れる音…
両手で本を持ち、小さく鼻歌を歌う
彼女は綺麗な白とピンクのグラデーションの髪をひとまとめにし
彼女の身長よりも高い扉をノックして
少し扉を見上げる彼女の首には
その可愛い顔不釣り合いな程幅のある黒のチョーカー
ﾏﾏ「おはようさくら」
『おはようママ！』
ﾏﾏ「さっそく始めましょう？」
『はーい！！』
毎朝5時半、皆が起床するまでの30分
その時間はいつも、彼女が"元いた場所"から指示されたことをしている
ﾏﾏ「さくらはとってもおりこうさんね」
『でしょ！
ありがとうママ！！』
ﾏﾏ「ええ
あなたは私の自慢の子供ですもの
さぁ、そろそろお部屋に戻りましょう
皆起きて来るわ」
『はーい』
そして6時、起床の鐘が鳴ると
この孤児院は一気に喧騒に包まれていく
「みんな起きてー！朝ごはん遅れるよー！」
最年長であるエマの声で皆起きてくるのが日常
こんな暮らしも気づけば8年…
兄弟達が部屋から飛び出して来るのを見るのは
毎日見ていてもやっぱり可愛らしく、笑みが零れる
今は39人兄弟
性格も年齢も肌の色も様々
私達に血の繋がりはない
ｲﾍﾞｯﾄ「おはよーさくら！」
『おはようイベット』
ｴﾏ「あー！さくらまたママのところ行ってたのー！？」
『うん笑…エマの大声朝から聞くなんて嫌よ〜笑』
フィルを背負ったエマがえー！？なんでー！？と言いながら食堂へ走る
ほっはよー！フィルに口捕まれ朝からエマは面白いなぁ
エマに続いて挨拶をすると2人が振り返る
そこにいるのは2人と同い年のレイとノーマン
ﾉｰﾏﾝ「おはようさくら、エマ」
ﾚｲ「はよ、さくらそれとほはよー、エマ」
『おはよう、ノーマン、レイ』
お前歳いくつだ？5歳？なんて言われてるエマ
ママに入り口からやり直す！って泣きついてるのもエマらしい笑
ﾏﾏ「どうして？
私は好きよ？エマのそういうところ」
ｴﾏ「中身5歳のところ！？」
ﾏﾏ「家族みーんなを大切に思ってるところ」
ママの一言でエマの機嫌はコロッと変わった
時間になり、皆で朝食を食べる
これが当たり前の日常であり通常の風景
この後行われる、毎日の難易度のテストも
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作者名：Rio | 作成日時：2022年11月29日 17時
