Story 8. ページ9
既に、手にしていたバインダーも机の上に投げられてそのままになっている。恐らくは二人の話を聞きながら状況を書き込もうとしていた筈だが、そんな事をする意味すらないと判断されてしまったらしい。
「──猫探しどころか、落とし物一つを探すほど気前の良い探偵がもし居たとしたなら、この目で見てみたいものだ。さぞ滑稽なのだろうな」
「落とし物でも、失くし物でもありません!」
肩を竦めて嘲る凪斗の言動を見て、颯太もまた既に腹の内では憤慨していた。相手の姿を強く睨み詰めているのだが、それには凪斗自身もAも気づく様子が無く、両者間で言葉の投げ合いが続けられている。
しかし容赦ない声ばかり放つ凪斗に対し、Aはただ必死だった。人々の話題に上がるほどの実力者でなければ、自分の目的が果たせる筈もないと。
「私はまだ、それをこの目で見た事がありません。どこにあるのかもわかりません。それが一体どのような形をしてるのかも、何も知らないんです」
「それをどのようにして探せと?」
そのような探し物をしろなど、なおさら馬鹿馬鹿しい話だ。まさか人の心でも探せと言うのかと笑うしかない凪斗の態度を一変させたのは、この次に、改めて落ち着いた声色で放たれたAの声であった。
「──私が知っているのは、その名前だけです。この世界に生きる人々は、それを“アーラ”と呼ぶと言います」
「…………!」
対して、寧ろ馬鹿にされてしまったかのような気分を味わっていた凪斗は“アーラ”の名を聞き、伏せ切っていた目を見開かせる。今度こそ何も言い返せずに居る彼の耳に、引き続きAの声が入り込んで来た。
「どうしても、“アーラ”と呼ばれる物を探し出したいんです。明確な理由はありません。けれど私……行かなきゃいけない気がしたから、」
それでもやはり、こんな動機では、また彼に相手にしない方が良いと判断されてしまうのだろうか。
そう考える一方で、ここで嘘をついても、自らを見据える彼の瞳には全てを見破られてしまうような気がして、彼女は真実以外の事を口には出来ないのだった。
「──わかった。話はもう良い」
「あ…………、」
ついには笑うのを止めた凪斗だったが、今度は妙に冷静な面持ちになってソファから立ち上がったのを見て、彼の呆れも極限に達したのだろうと思い込んだAは肩を落とす。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
