Story 7. ページ8
先ほど颯太が声を上げたのは、Aが良家の人間だと答えたところで、凪斗から見る彼女への認識の変化に気がついたからだ。恐らく、凪斗にとっては貴族も良家もそう変わらない。
──平民の中には、広くこのような認識を持つ者も居るのだ。“貴族は横暴で、世間も相手の心も知らない愚かな人間なのだ”と。
使用人がその偏見を察せたという事は、少なくとも平民たちの間にそういった認識がある事を知っている、あるいは自覚があるという証である。一先ず凪斗は、その颯太が仕えるというAの人柄を信用する事に決めた。
「では、用件を聞こう。言っておくが、人探しならまだしも、猫の捜索願などは受け付けて居ないからな」
「…………」
片や、ソファに深く座って言い放つ凪斗を見て、颯太は複雑な念を抱いている。妙に偉そうな態度、隠しもしないプライドの高さ。なんてわかりやすい人物像か。一度疑いの視線を投げかけられた時点で、彼は凪斗の事を気に入らなく思っていた。
しかしこれはA自身が望んだ事だ。彼女が何か言わない限り、颯太が凪斗を拒否する事は出来ない。そんな颯太の傍らで、Aは相手が促す通りに用件を告げ始めた。
「私達、ある目的のために家を出て、旅を始めたんです。ただ目的を果たすためには、貴方がたのような者の力が必要で……」
「…………、その目的とは?」
「それは──……」
ただ、流石に彼女も“やばい”雰囲気は感じ取ったのか、少々言い辛そうにしつつ、言わずに居ては仕方がないと思い切って最後に言い切る。
「実は……“探し物”なんです」
──Aが口籠もり始めてから、その様子を怪しんでいた凪斗の顔つきはすぐに険しくなっていたが、相手から頼まれた事を直接耳にすると、険しい顔つきのまま目を伏せて二人を跳ねのけた。
「…………帰れ」
「えっ」
「帰れ」
この時、彼はAの答えを聞いてすっかりやる気が失せてしまったようだった。思いっきり背もたれに体重を預けて、Aや颯太を追いやるようにサッと片手を振るのだ。
きょとんとしたAは戸惑って小さく声を上げたが、返って来るのはやはり、同じ“拒絶”の意を示す言葉である。
「お前達の頼みは聞かん。落とし物なら他をあたれ」
「ま、待ってください! せめてお話だけでも聞いていただけませんか……!?」
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
