Story 12. ページ13
「それでも押し切って出た旅です。全てが安全なままで済むとは思って居ません。だから行きましょう、颯太。私も貴方も、これを操縦する事は出来ますし」
「ですが随分と前の話ですよ、それは。……まあ、貴方が構わないと言うのなら、俺も何も言いませんが……」
やはり不満が無いと言う訳では無く、渋々といったように承知する颯太。対して、Aがこう語った事で凪斗がどう思ったのかはわからないが、とりあえずグライダーでの移動は決まったと判断した様子は見受けられた。
「もちろん、街の外は少し歩き回るだけでも魔物と遭遇する危険性がある。──だからこそ、空を飛ぶ手段を使うべきだと判断したんだ」
この世界で、いつしかに自ら飛行が可能な魔物が居た試しは無い。しかし、翼を持つ魔物は居ないが、空まで届く攻撃を行える魔物は存在する。地上に居ながら、遠距離攻撃を行うのだ。例えばそれはブレスだったり、超音波の類なものだったり。
それを除けば、空を飛ぶと言う移動手段は“歩き回る”よりも遥かに安全性がある。空を飛ぶ魔物は居なくても、地上を走る魔物は数えきれないほど存在するからだ。
「空への攻撃が可能な魔物も少ない訳では無いが、少なくとも次の街までは、その対処は俺に任せてくれれば良いさ」
「そうですか……、わかりました」
グライダーから手を離す事は、普通であれば危険な事であり、魔物からの攻撃に反撃を行う事はほぼ不可能ではあるが、凪斗はそれを問題視していない。
とにかくこれから少しの間は大丈夫だと断言し、Aが頷き返したのを見て、彼は今回の旅の目的に話を移した。
「問題の“アーラ”についての話だが。それがどこにあるのかを人に聞いて回るのは良いが、恐らくそれは人の居る場所を探してもどこにも見つからないだろう」
「……では、都市や街どころか、人の出入りする遺跡などにも、探しに行っても意味はないという事でしょうか?」
「…………察しが良いのは助かるな」
ふと首を傾げたAが返す声に、満足気に笑う凪斗が頷く。──誰もが言うのだ。名前を聞いたことはあるが実物を目にした事は無く、そもそもアーラという物が実在するのかすら怪しいのだと。
街中の人に聞き回り、同じ答えが返って来る。それはつまり“アーラはこの世には無い”ことが広く知れ渡っていても、誰の目にも触れていない事実に繋がる。要するに、人の目につくような公の場所にはまずないと考えて良い物なのだ。
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
