Story 11. ページ12
というよりかは、“それ”は世間一般的に知られている乗り物だった。“それ”の事を人々は“グライダー”と呼び、親しんでいる。
(実際のところ、グライダーではなくハンググライダーと呼ぶ方が正しい飛行物だが、この世界の概念に飛行機等の類の乗り物が無いため、彼らはこう呼んでいる。)
Aはそれを見つめて、数回だけそれに乗った事がある過去を振り返りながら懐かしい思いを抱く。
「こいつで空を飛んで移動するのさ。二人乗り用だから二機用意してある」
「しかし、これでは外部からの攻撃に対応できない。危険すぎる」
グライダーの羽に軽く手を掛けながら告げた凪斗には、僅かに眉を寄せる颯太が非難の声を放った。Aが過去に数回だけしか乗った事が無いと言うのも“危険”が原因であった。
──グライダーは、乗れば自らの身体を支えるために、殆ど両手が塞がってしまうと考えても良い乗り物。それをそのまま街の外に出れば、魔物がはびこる中で、危機と隣り合わせなまま目的地を目指さなければならなくなるのである。
そんな物に乗り慣れてしまっては危険だという可能性を見た両親が、Aにグライダーでの飛行を禁止させたのだった。
今も颯太が危険な可能性を見て、グライダーに乗って行く事を渋っているのだが、これには、表情一つ変えないままでいる凪斗が言葉を返す。
「お前達は、危険を承知でアーラを探す旅に出たのではないのか。それとも、例え旅に出るのだとしても自分の命は惜しかったか?」
「いや、俺が言っているのはそういう意味では無くて……──!」
危ない橋は渡りたくない、などと言っているのではない。ただ、もっと他に安全な手段を用いる事は出来るのだから、その手を使っても問題はないのではないかと伝えたかったのだ。現に、Aと颯太はそうして故郷からこの都市へとやってきたのだから。
しかし、凪斗もその手を知って居ながら、グライダーで移動を行う事を考えた筈。きっとそれなりの理由あっての事だと考えたAは、彼の判断を呑む事に決めた。
「──危険は覚悟して居ます。私が旅に出たいと話した時、お父様とお母様はそんな私を許したがりませんでした」
代わりに、彼には自分達の決意がどれほど堅いものであるのかを知ってもらわなければならない。いつまでも侮って居て貰っては困ると、彼女は旅に出る直前の出来事を語った。
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
