不登校少年出逢いの季節 (ページ8)

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傘とバンソーコー2 ページ8

不良side

『なめてんじゃねえよックソガキがッ!』

『ウアッツッ、、、グハッ、、、、、、』

『次は気を付けるこった。ケッ。いくぞお前ら!』

、、、、クソッんだよ、たかが空き地に入っただけだろうが。こんなボロ空き地が陣地何て

呆れるぜ。、、、、まあ、こんなとこで倒れ込んでる俺の方が、呆れるか、、、。

あー、疲れた。体も痛いし。雨も降ってずぶ濡れだし。帰るとこ、ねえし。

コトン、コトン、コトン、、、誰か近づいてくる。来んじゃねえよ。どっか行けよクソ、、、

『、、、大丈夫ですか？』聞こえてきたのは女の声だった。

『、、ウッハア、、おれに、構う、んじゃ、、、ねえッ』頼むからどっか行けよ。俺は、凄く、

イライラしていた。出来るだけドスの聞いた声で、精一杯睨み付けた。これで去んだろ。大抵の

奴なら、こうすれば、恐れをなして逃げていく。でも、この女は、しばらく俺を見つめてきた。

その上『、、、ハア、、こんなに怪我して俺に構うなって、、、こんな所を見て、ほっとけるほど、
酷くないですから。』

そう言って、傘を俺に向け、手の中に何かを置いた。

今、雨ふってんのに。結構ふってんのに。自分がどんどん濡れていってんのに。

『こんなことしか出来ないけど、、、お気をつけて。』何て俺にお辞儀なんかしてさ、走って

去っていった女。

何なんだあいつ。バカじゃねえの？こんなヤツに傘なんか置いていって。

『ウッと、、、ハアー。ん、なんだこれ、、、、んだよこれ、、、、』起き上がって手のひらの物を

見ると、バンソーコーが。マジクソムカつく。、、、、のに。

あの俺を見つめるときの真っ直ぐな瞳、凛と透き通った、でも堂々とした声。

それが、俺の頭ん中に、焼き付いた。

ふと、傘の取手を見ると、ご丁寧に高校名と名前が書いてあった。

【春川高等高校】
二年長瀬栞菜

『同じ高校、同じ学年、、、マジかよ。、、、、長瀬、栞菜、、、、』

傘、返さなきゃな。