不登校少年出逢いの季節 (ページ7)

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傘とバンソーコーページ7

詩織のお家を出てから、少したった頃。ザーザー降る雨を見上げながら歩いていると、ふと、

路地裏から声が聞こえた。よく聞こえなかったが、男の人達の声だ。次の瞬間、ドンッと何かを

ぶちつけた音がした。しばらくして、男の人の達の声は聞こえなくなっていた。何だか胸騒ぎがした

私は、路地裏へと足を進めた。するとそこには、少し狭いが、空き地があった。

その空き地の隅に、男の人が足を広げて座り込んでいた。その人に、近づいていくと、怪我を

していることが分かった。服は所々が破けて、腕や顔には何度も殴られた痕があった。

『、、、大丈夫ですか？』恐る恐る聞くと、ゼエーゼエーと荒い息を吐き、こちらを睨み付けた。

『、、うッハア、、おれに、構う、んじゃ、、、ねえッ』息を切らしながら、でもドスの聞いた声で

そう言った。私はしばらく相手のことを見つめた。

『、、、、ハア、、こんなに怪我して俺に構うなって。、、、こんな所を見て、ほっとけるほど、

酷くないですから。』

私は、自分の傘を相手の方に向け倒れないように置き、カバンの中からバンソーコーの箱を取り出し

相手の広がっている手の中にそっとおいた。

『こんなことしか出来ないけど、、、お気をつけて。』私は相手に一礼し、雨に濡れながら、走って

帰った。