下駄箱 ページ5
一日の授業も終わり、何とかやり過ごした。頼れる友達がおらず、1人きりになった気分だったけど。
教室から出ようとしたとき、先生に呼び止められた。
『澤田の家とお前の家近いだろ?これ、今日の宿題と、手紙だ。渡しておいてくれ。』
『はい。』(澤田は詩織の名字) ちょうど詩織のお見舞いに行こうと思ってたから、承諾した。
廊下を、歩いていると生徒の視線をと感じる。きっと、平居君との噂が広まりでもしたのだろう。
特に気にせず、下駄箱まで歩いた。するとそこには、平居君が、ちょうど靴を出しているところだった。
相手は気づいていないようだったので、いつも通り、靴を出し、履いて玄関を出ようとしたら、
『フハッ。気づいてないとでも思った?栞菜ちゃん。』
『、、、気づかれていないと思ってました。何もいってこなかったので。』
『こんな至近距離にいて、気づかないわけないよ〜。ましてや、栞菜ちゃんに気づかないなんて。』
そう言って、どんどん私に近づいてくる平居君。
『私、急いでるんで。』
『そんな固くならないでよ、同じ学年だよ?もっと仲良くなろうよ?、、、栞菜ちゃん、、、』
また私の耳元で囁いた平居君の肩ドンッと突き放した。私は、朝言おうと思っていたことを、
平居君の目をまっすぐ見て言った。
『私、貴方と今の状況で仲良くすることはできません。ましてや、口説かれて仲良く、なんて絶対。
もし私と本当に仲良くなりたいのなら、私を自分のものにしようなんて下心、完全に無くしたら、
友達になりましょう。それまでは、この堅苦しい敬語もやめませんから。、、、では。』
私は、呆然と立ち尽くす平居君に一礼して、ザーザー降りになった外へと歩き出した。
『マジかよ、、、』と呟く平居君の声は、私の耳には届かなかった。
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作者名:VISA | 作成日時:2018年2月20日 20時