ターゲット ページ4
そそくさとあの場から脱出した私は、教室の扉を開けた。そのまま自分の席に行こうとすると、
『おはよう!長瀬さん!』と複数の女子が一斉に挨拶してきた。
『、、、お、おはよう。』いくらクラスメートとはいえ、私にとっては全然知らない人、だ。
無口な私は、この状況に少し驚いたが、何とか返事をした。何用だろう、と思っていると、
『今日の朝、平居君に話し掛けられたってホントッ?』 一人の女子が聞いてきた。
『下駄箱のところで、平居君が、女子と話してるの見てさ。顔よく見えなかったけど、長瀬さんっぽかったから。』
と、もう一人の女子が。知られてたんだ。まあ、あんな公衆の場で、しかも学校の人気者と
話してたら、誰だって気づくか。
『うん。話してたよ。と言うよりかは、話し掛けられた、かな。』別に隠すことでは無いだろうと、
その時の様子を説明した。すると女子は、いきなりきゃーっといって騒ぎだした。
『それはつまり、これから、口説かれるってことよ!長瀬さん!今回のターゲットは貴方よ!』
『ターゲット?』確かに、口説き文句だってことはさすがにわかったけど、ターゲットって何?
『平居君は、気に入った女子候補を決めるの。で、気に入った女子を口説いて、いっつも必ず
一週間もしないうちに、平居君のものになっちゃうの!』
『それって、引かないの?』
『引くも何も、あの完璧な平居君よ!?引くどころか、喜んで平居君のものになるのッ。
まあ、平居君が気に入った候補を決めなくても、学校の女子はほとんど平居君のこと好きだけどね!』
貴方が平居君に堕ちるのも、時間の問題。とはしゃぐ女子たち。
これは、面倒なことに巻き込まれたもんだ。この噂を知らなかったわけではないが、まさか
私にもこんな経験をすることになるとは。
おまけに、詩織は風邪で休んでるし。今日に限って。
心配と、今日一日の始まりの憂鬱が混ざった、深いため息を着いた。
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作者名:VISA | 作成日時:2018年2月20日 20時