滑稽と必死 ページ2
……え?
「……椿先輩?!」
驚き過ぎて、ガターン!!と、盛大に椅子を後ろに倒し、立ち上がる。
「え?僕だけど……何?
それより本借りたいんだけど」
「あ……い、いえ、すみません……。
……椿先輩も、本……好きなんですか?」
貸し出し手続きを済ませ、本を渡す。
「……いや、好きじゃ無いよ。
どれもこれも、決められた終わりじゃないかな?
主人公が苦戦や苦悩して、最終的には勝って終わり」
先輩は、何処か遠くを見て呟く。
「決められた終わりに向かって、必死にもがく主人公なんて、滑稽だと思わない?」
眼鏡を外し、不敵な笑みを私に浮かべる椿先輩。
「私は……そう思いません!
本は勇気を与えてくれます!
必死で頑張れば、必ず幸せは待ってます!!」
と言った所で、私は先輩に怒鳴ってしまった事に気付き、「ごめんなさい」と謝った。
怒って帰ってしまうかと思ったけれど、私の大好きな先輩はそんな非道じゃなかった。
「あっはは!……今年の図書一年生委員は面白いね!
君、名前は?」
「わ、私、ですか?
私は、桜坂Aです。一年生です」
すると、椿先輩は私の頭を撫でて、こう言った。
「君、気に入っちゃった。
また来るね、A」
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