【ブルーロック】夏の偶然【黒名蘭世】

潔家　※潔side ページ30

潔side



布団の上で意識を朦朧とさせながら体を起こす



ベランダの窓が開いているのに気付き、のろりとそっちへ向かうと話し声がした



部屋の反対側を向き、グラスを持つ黒名の姿



自主練の際によく見かける完全ワイヤレスイヤホンが耳元からチラリと見えた



なるほど、電話か



楽しそうに、嬉しそうに、愛おしそうに、大切そうに



黒名からはそれらの感情が見て取れる



相手はAで確定



気配に気付いたらしくこちらを振り返った



イヤホンを取り「スピーカーにしていいか？」と聞かれたので「あぁ」と頷き返事をする



黒名「潔、体調はどうだ？」



【大丈夫？二日酔いにはしじみ汁だよ】



この二人発想似てる、てか同じ



黒名「潔、遅くですまないがシャワー借りていいか？」



潔「おぅ、廊下出て左だ」



そのままスタスタと部屋を出て行ってしまった



待て待て、電話繋げたまま？



【蘭世のこと大切にするから安心してね】



潔「…急にどうした？」



【私の悪しきイメージを払拭したい】



なるほどな



潔「男多い場所に行くなって言われたんだろ？」



【そうだね。控えて欲しいくらいの言い方だけど】



潔「んなことできんのか？」



【蘭世のためなら余裕だよ】



素直にほっとした



俺は黒名の良さを知っているし、大切なチームメイトである以前に大切な友人だ



大切な友人のことは大切にしてほしいと思うもの



潔「浮気とか絶対すんなよ」



黒名を傷つける事だけは許さない



【蘭世より良い男なんてこの世にいないんだから、するわけないでしょ】



バッサリ言い放った



至極当たり前のように



なんだ、普通に良い子じゃん



酒引くほど飲むし、煙草吸うし、ギャンブラーだし、いかつい車にサーフボード積んでたけど



そう言ったらこの子はまた「偏見」と他人事のように言ってクスクスと品よく笑って流すのだろう



【アナタの性格、やっぱりタイプだわ】



平坦な声と同時に聞こえてきたカチッとライターの音



潔「なんだよそれ」



【友達思いなとこ、素敵だなって思ったよ】



潔「Aのそれ、嬉しいけどリアクション困んだよ」



【テキトーにお礼言って流せば良いのに。そんな素直な返事くれるのね】



軽やかなトーン



なんだこのAの掌の上で踊らされてる感

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