【ブルーロック】夏の偶然【黒名蘭世】

ドライブ ページ25

Aside




カチャっとシートベルトをする




そのタイミングでゆるりと車が発進した




『蘭世は歩く時、手を繋ぐタイプだよね』




蘭世「嫌か？」




少しむくれている表情が子供っぽい




そんな顔をしつつ、ハンドルを掴んでいない方の手を私に差し出す




訂正、“歩く時”ではなく“いつも”手を繋ぎたいタイプらしい



『んーん。私そんなに手を繋ぐタイプじゃなかったから慣れないだけ』




“手繋ぎデート”なんて蘭世以外、直近でいつしたっけ




思い出せない…マズイな




まぁいっか、と思い出すのを早々に諦める




『この道、真っ直ぐだと遠くない？』




蘭世「遠回り遠回り」




なんだなんだ、可愛いかよ




喉まで言葉が出そうになったが飲み込んだ




蘭世が、店から出ようとしている車に前を譲っていて、可愛いより大人のカッコ良さが勝(まさ)ったから




『せっかくだし、ドライブスルーでコーヒー買わない？』




覗き込みながら蘭世に問いかけると、何か言いたげな表情をしていたので、話題を振られるのをのんびり待つ




蘭世「Aの過去の、」




と何か言いかけた蘭世は途中で話しを中断させ「やっぱり何でもない」と話しを終えた




『蘭世が心配するような恋愛してないよ』




本当にしてない




友達から「Aってモラルのある享楽主義者だよね」と言われたことがある




そんな私が恋愛というジャンルを真剣に向き合った過去があるかと問われれば答えはNOだ




蘭世「何も言ってないだろ」




ふいっと顔を明後日の方向へ向けてしまった




ダメだ、やっぱり可愛いの化身




第一印象は無口でクールな子かなって思ったけれど、関わっていくと人懐っこくて可愛い



時折見せる大人っぽい顔のギャップもツボ



そんなことを思いながらスマホを操作し、コーヒーのネットオーダー画面に移る




『期間限定派？定番派？』




と、聞きながら自分が頼む分のアイスラテ、グランデサイズの数量を“1”にする




蘭世「定番定番」




だよね




『じゃあ定番メニューを順番に読んでくから選んでね』




つらつらとメニューを読み終わった頃




蘭世「ラテのアイス、サイズはグランデ」




『本気？』




さすがに驚く




蘭世「何がだ？」




『全く同じの選んだから』




蘭世「恐怖恐怖」




そう言いながら蘭世は楽しそうに笑っていた

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