本坊事務長に夢を見る ページ8
朝、徹夜明けの宇野Aはパソコンの電源を落とし伸びをした。とは言っても他の人達が出勤し始めたくらいの時間だからまた仕事をしなければと目をぐいぐいと抑えた。
本「お疲れ様です」
本坊事務長が声を掛けてきた。Aは肩をビクッと震わせ、振り向いた。
「お、お疲れ様です……」
目を泳がせながらも答え本坊の顔を見た。本坊は心配した様な様子でA を見下ろしている。
本「また徹夜したんですか」
ため息をついて言う。Aは本坊から目を逸らした。
「まあ……」
本「働き過ぎですよ、今日はもう休んでください」
心配気味に言い、荷物をまとめさせようとする。Aは本坊の手を止め、首を振った。
「大丈夫ですよ。まだできます」
本「でもねぇ……そんなに働いてたらいつか倒れちゃいますよ?」
口を尖らせ本坊は言う。Aはいえいえと言わんばかりに笑顔で答えた。
「大丈夫ですから」
そう言って立ってコーヒーを飲みに行こうとするとAは転んでしまった。
本「宇野さん!?」
本坊は焦りながらAの近くに駆け寄った。
本「やっぱ無理してるんですよ。休んでください」
Aは一瞬疲れた顔を見せるが愛想笑いに変え、本坊を見た。
「大丈夫ですから……」
そう言って立ち上がろうとするも力が上手く入らない。本坊は心配そうにAの手を取ると抱えるようにAを立ち上がらせた。
本「大丈夫じゃないですよ」
腰に手を回したまま本坊は言う。Aは頬を赤くして離れようとするも本坊は離さない。
「ちょっ本坊さん!」
押しのけるように離れると駆け足で廊下の方へ行った。
本坊は驚くような表情で下を向いた。そして、悔しそうな顔をした。
本「ごめん……」
そう一言だけ言いその場を去った。
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作者名:Rei | 作成日時:2024年3月11日 7時