一途な天才軍師くん (ページ11)

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ベッドに横たわって彼女の声色を思い出す。
思い出せば出すほど、罪悪感というものに心だけでなく体をも蝕まれていく感覚が広がった。不味いことをした。私は一心同体だった友を、裏切る行為をしてしまったのだ。
その感覚は次の日になっても、学校に行っても変わらなかったのだ。
「どうしたらこの感覚から抜け出せますかね」
もしかしたら天才軍師である彼なら良い解決策を思い付いてくれるかもしれないと、淡い期待を持った結果この様だ。
伝えた瞬間ニヤリと笑ったその顔は、末代まで伝えてやろうと決めた。

「自分の運命は自分でコントロールすべきだ。さもないと、誰かにコントロールされてしまう。」
口からスラスラと出てきたその言葉は生きている内に聞いた事は無い、これから聞く事も無い様な言葉だった。彼の口から出る言葉なのだからいつかの時代の偉人の名言なのだろう。
「聞いたことないですよ、そんなの」
私がそう言うと彼は私を流し目で見て鼻でふっと笑った。どこまでいっても人を馬鹿にした様な態度が抜けないのが、彼なのである。
だがそんな彼だから戦国の世でも現代でも天才軍師になれたのだろう。
小さな罪悪感にも打ち勝てない私は、どこか小憎たらしい彼に嫉妬しながらも憧れていた。

「いつかお前は、俺に運命さえ握られるぞ」
身を乗り出して、いつもより数倍近い距離でそう告られた。後少しでくっ付いてしまいそうな唇も真っ黒な瞳も、今どきの女子高生らしくドキドキしてしまった。
自分で蒔いた種から、彼女への罪悪感で侵食されるのもまた運命であり、目の前に居る天才軍師の彼に話してしまったのも、今までは神が決めてしまった運命なのだろう。

クリスマスキャロルが聞こえる頃にキリストさんが誕生し、それと同時に私の中の運命も罪悪感という感情も神では無く彼が握ってしまうのだろう。彼女への罪悪感が薄まってきた瞬間に、キャロルが聞こえてきた。