一途な天才軍師くん (ページ4)

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お菓子と大人な黒田くんページ4

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「Aちゃ〜ん！お菓子パーティーしよや！」
やっと授業が終わって今日は家で大好き映画でも何本か観ようと思っていた矢先、私に声をかけてきたのはいつでも元気な豊臣くん。
豊臣くんの手にはポッキーとコアラのマーチが握られている。そういえば今日は短縮授業だから放課後皆で何かすると、みやびちゃんが言っていたっけ。

「いいけど私、お菓子持ってきてないよ？」
「そんなんええよ！居るだけでAちゃんはお菓子みたいな存在やから♡」
こんな風に口が達者な豊臣くんはやっぱり人気者で女の子にもモテモテで、好きな人とも上手くいくんだろうなってちょっとだけ羨ましい。
「こら、あまり女の子をからかってはいけませんよ」
側で聞いていた上杉くんが間に入ってくれた事で助かったけど、助けてくれたのが黒田くんならなんて考えてしまった私はちょっとだけ嫌な女だ。

「Aさんもお菓子パーティーに参加するのですね！とっても嬉しいです！」
真ん中に集められいくつかの机がくっ付けられた場所に行くとみやびちゃんがじゃがりこを片手に話しかけてきた。
相変わらず隣では織田くんが甘い物を食べている。いつもは干し柿だが今日はチョコレートらしい。さすが私に負けず劣らずの甘い物好きだ。

「うん、みやびちゃんも居てくれて私も嬉しいよ」
みやびちゃんは嬉しそうに笑って私に持っていたじゃがりこを渡してくれた。
やっぱり王道の味、さすが天下のじゃがりこ様。私にとってのしょっぱいものの天下は後にも先にもじゃがりこ様だけだ。
「お前は本当にわかりやすいな」
「え！く、黒田くん！」
私の後ろからじゃがりこを取り上げたのは私より背が高いけど、周りと比べたら少し小柄なベレー帽が似合う男の子。
「天下を取れるのはこいつだけでは無いぞ」
そう言って一噛じりする姿も様になる。
それがなんだか少し悔しかった。

「これも食べやAちゃん！」
「これも美味しいですよ」
豊臣くんに明智くん、そして目の前にはみやびちゃん。比較的穏やかで可愛らしい方の三人に囲まれるのは心がすごく和む。
三人の誘惑に誘われて手を伸ばそうとしてしまうが、昨日食べたケーキを思い出した。
この誘惑に負けてしまえば、また体型を気にしなくてはならなくなる。
「いや、あのね」
きらきらした三人の目には敵いそうに無い。

「そうこいつに勧めるな、お前昨日甘い物を食べたばかりだろう」
そう助言したのは昨日一緒にケーキを食べた黒田くんだった。