メガネが2つ ページ24
全く。何がどうなっているのやら。
思わずため息のひとつだって零れてしまう。
最近も相変わらずアグノマギアの人間に秩序を乱されている中、更に新興の宗教が出来てしまった。
信者は日に日に膨れ上がるように増えていて、恐らくカナモスにも信者が一定数は居るとのこと。
マグノリアたち部隊長らからそういう話を聞かないので、恐らくまだその規模も小さい。
信教、そして思想。つまり自分が何に忠を尽くし、自分が何を信じるかは全員の自由だ。
檻の中のもの達も、全員それを保証されている。
だが、信仰は行き過ぎれば狂信となる。
こちらではまだ手を出すべきではない。それでもいつかはあの女神の一神教が狂信者を生み出すことは間違いないのだ。
実際に私はそう「なった」話を知っている。
おとぎ話だったが、それでもその本が教えてくれた教訓は現実のもので。
もし暴徒の類でも出たなら、カナモスは総裁命令であの一神教を信仰禁止にするのかもしれない。
そう思うと、私もペンを走らせる手が少しだけ止まってしまう。
「オーベロン、顔色悪いよ?ねえ!おーーー一いっ!おーいこの秩序警察!!」
頬をぺちぺちと叩く冷たい手の感覚で、止まっていた思考がまた動く。目の前には頬を膨らませて怒るマグノリアの姿があった。
「マグノリア?一体なぜ私の部屋にいるのですか?」
「もうっ!!こっちに来いって言ったのはオーベロンでしょばかちんっ!」
もう21にもなるのに、まるで子供のように反論する。
そんな至極平和的な彼女が可愛いと思った。
別に異性に向けるそれではなく、犬や猫、動物に抱く感覚と同じなのだ。
恐らくこの異様な明るさや、真っ直ぐな性分は私含めて誰もが持てるものでは無い。
無能力者たちがいうならば、ある意味ギフトにも近いのだろう。
彼女の爛漫さに少しだけ口角を引き攣らせながら、マグノリアの報告を聞く。
気分転換に街の郊外を出歩いてみる。
暖かな日差しと冷たい風に当てられながら、私は束の間の休息の中、この手記をしたためた。
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メイドのもも(プロフ) - 桜花で更新します (2020年5月19日 9時) (レス) id: 3d1581623e (このIDを非表示/違反報告)
梨兎(プロフ) - 更新終わりました! (2019年12月19日 4時) (レス) id: f393b65561 (このIDを非表示/違反報告)
梨兎(プロフ) - 鈴ノ枝 海景で更新します! (2019年12月19日 4時) (レス) id: f393b65561 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - 更新完了です! (2019年12月19日 3時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - 夜遅くにすみません!マグノリアとオーベロンの1話ずつ更新します! (2019年12月19日 2時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
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