世界を統べる者たちよ【神樹を守る子ら】【リレー小説】

人形が一体 ページ18

「馬鹿が居るわね」

馬鹿、それは先程作りあげた人形。込めた魂は馬鹿の魂だったらしく、エレノアの家にある人形レベルの馬鹿さだった。

「……破棄しましょうか」

作りたてだから少し残念だが、魂は取り出せないから処分しかない。魂の後片付けも大変である。魂が留まらないように、浄化しなくてはならない。ーーもう限界なのだけれど。そんな言葉は隠して。

「Purification(浄化)。疲れた……」

どうやらPurification(浄化)の影響で魔力が切れたらしい。それでも自分にあと少しだと言い聞かせ、魂がなくなったことにより地面に倒れ込んだ人形をバラバラにしていく。

それにより疲れきったので、休もうとベッドのある生活圏へ続く扉に向かう。その時、死人に鞭を打つように扉に取り付けてあるベルが鳴った。

「ちょっと失礼するわよ、鐘華」

入ってきたのは、幼馴染であるエレノアである。

「悪いけど、人形を修理してもらいに来たのよ。できるかしら？」
「今は魔力切れ、だから無理……」

今日、これ以上の仕事はしたくない。そんなことを言ったのはそのためだが、エレノアには通じなかった。

「魔力切れだったら、私が魔力を分けてあげるわ。生憎、有り余っているの。何なら、精神と肉体の治癒魔法もかけてあげましょうか？」

魔力供給だけと思えば、治癒魔法付き、と。これならまだやれるかも、とはわたしは思えない。

「治癒魔法付きでも却下」
「そう……それなら後日、また伺うことにするわ」

こういう所で聞き分けが良いのがエレノアだ。ちゃっかり魔力供給をして、扉を破壊して出ていった。

世界が2つ→←魔力が1つ

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