世界を統べる者たちよ【神樹を守る子ら】【リレー小説】 (ページ2)

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病が1つページ2

今日も、変わり映えのしない一日が始まる。

「おはようございます」
『おはようございます』

カナモスの隊員から挨拶され、いつもの様に光魔法で宙に字を書く。探知魔法が隊員が首を傾げた事を示す。恐らく、僕の身体の事を知らない人なのだろう。光魔法で『声が出せないんです』と記せば、申し訳ないと謝ってくる。彼は全く悪くない。気を損ねた訳でもないし、勿論許した。

ふよふよと浮遊魔法で宙を滑る様に移動する。この不便な身体にも随分と慣れて、浮遊魔法・光魔法・圧力魔法の事は「日常魔法」とすら呼んでいる。まあ、僕が勝手に作った呼び名だけど。僕にとっては日常に欠かせない魔法だから、纏めてそう呼んでいるだけ。

カナモスの部隊に所属している訳でもない僕は意外と暇だ。ならば家でのんびりしていれば良いだろうとも思うだろうけど、それも結局暇である事に変わりはない。どちらも一緒なら、まだ何かしら見つけられそうな外に出てきた方が良いだろう？

ああ、誰か僕に退屈しのぎをくれ。暇で暇で仕方がないんだ。
ただでさえ何も見えないのだから、景色を楽しむ事すら出来ない。酷い話だよ、本当。

さて、今日は何をしようか。部隊での訓練の観察でもしようかな。自主練をしておけば、退屈も多少は紛れるかな。どうしようか。

僕は不幸だ。
でも、僕は幸せだ。
意味が分からない？ふふっ、良いのだよ、それで。
僕以外にこれは分からない。それで良いのだよ。