14.保健室 ページ16
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「患者だァ」
「あらあら、いらっしゃい」
保健室につく頃には体はグデェとへばっており、完全に不死川くんに体を預けている状態だった。
「着いたぞ、動けるかァ」
首を横に振る。
「そのまま寝かせていいわよ?お願いできるかしら」
「はい」
再び担がれて、ベットへ連れていかれる。
体の揺れが心地いい。
「……離れねェ」
「あらあら、可愛いわね」
不死川くん、次も授業あるのに絶対困らせてる。
そう思うのに、体は正直で、不死川くんの体を抱きついたまま離さない。離したくない。
頭をポリポリと書いて、呆れ顔で言われる。
今も尚私のせいで、お姫様抱っこの状態であるため、顔と顔が物凄く近くなる。
「授業が終わったら、来てやるから」
本当に、ほんっとうに優しい声だった。
私はゆっくり不死川くんから離れて、ベットに潜る。
今更だが、私のワガママ具合に恥ずかしくなって、顔を背けるように横になる。
「また、放課後なァ」
椅子から立ち上がる。
あ、お礼言ってない。
「……あ、り…がと」
「そういうのは、目を合わせて言えよ」
「……」
わしゃわしゃと後ろ髪を撫でられた。
大きい手がなんとも心地よくて、ごろりと寝返りを打ち、目を合わせる。
「あり…がと、…」
よく出来ましたと笑う不死川くんは、また私の知らない表情で、
「反則…」
「やべ、チャイム鳴る。じゃ、後はお願いします」
「任せて〜。授業、頑張ってね」
パタパタと走って教室へ行ってしまった。
「ふふ、青春ね〜」
保健室の先生と二人っきり。
私は先生と目を合わせて言う。
「せんせ……私、好きな人出来た」
「あらあら」
「今さっきね、気づいちゃったの」
保健室の先生も蜜璃ちゃんと同じように、優しい笑顔を向けた。
保健室にあまりお世話にならないから知らなかったけど、とても綺麗な女の先生だなぁ。
「どうしよ、多分熱上がった」
「放課後、彼が来るんでしょう」
「うん。早退できないや」
蜜璃ちゃん、やっぱりさっきの話間違ってたよ。
不死川くんが私のことを好き ではなくて、
私が不死川くんのことを好き てこと。
後で、報告しに行かなきゃ。
そう思いながら、重たい瞼を閉じた。
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澪凪(プロフ) - 待ってました!いつも応援してます。こういうの大好き。更新、楽しみにしてますね!! (2021年6月11日 21時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
つぼみ☆体調不良ネタは正義(プロフ) - 夢主がストレスたまりまくってひどい風邪ひいて高熱だして実弥に強制的に早退させられて、後から完全に弱り切って意識朦朧とした夢主を数日間手際よく看病する実弥がみたい! (2021年4月22日 23時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
未澄希(プロフ) - 夢主ちゃんが高熱で無理して授業中に思いっきり倒れて救急車で実弥がめっちゃ焦る話とか見てみたいです!つい最近体調不良ネタ書かれたばかりなのにすみません!!恋愛もの(?)での体調不良ネタキュンキュンする所も多くて好きでして…。応援しています! (2021年4月18日 19時) (レス) id: a0ad16ec48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えみぃ(*´`) | 作成日時:2021年4月1日 19時