12.心配 ページ14
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「それでね、不死川さんがねAちゃんのことを心配しててね」
「心配…?」
「私キュンキュンしちゃって」
キャーと顔を赤らめる彼女はなんと愛おしい。
本当に可愛い。
ゾクッ
一瞬背筋が凍る。ありゃ、彼氏さんの呪いでもかかったかな。やべー、やべー。
変なことを考えている私を置いて、蜜璃ちゃんは興奮気味に話を進めていく。
「私ね、思うの」
「うんうん」
「不死川さんはAちゃんの事が好きじゃないのかなって思うのよ!!!」
「うんう……ん!?」
今なんと?
ポカーンと口を開けて、目を見開く私。
対照的に、蜜璃ちゃんはガシッと私の両手を掴む。
「まず、不死川さんが私達に女の子のお話をするのも初めてだし、授業中ずっと2人は隣同士で仲が良さそうだから、」
「まてまてまてまて」
落ち着いて、蜜璃ちゃん。
それは無いでしょ。
「ちなみに、その私の話ってどういう話してたの」
「確かね、俺とつるんでいるせいでAちゃんが悪い人だと思われないか心配だって話してたわよ」
「イケメンかよ」
「本当に素敵だわ!!」
そう……なんだ。
あぁ、だから美術の時に突然”この先俺に話しかけんなァ”とか言ったんだ。
そう思うと心臓がどくどくと早く鼓動する。
きっとそれは、今から持久走があるから、だけではないと思う。
「でも、多分不死川くんはみんなに優しいよ」
「そんなことないわ!」
「そうだよ。私が今隣の席だから、特別に見えているだけ…だと思う」
それにね、と付け加える。
「不死川くんは友達が少ないから、久しくできた私という友達に優しく接してくれてるだけなんだよ」
「誰がだァ」
「わわっ!!」
ピトッと首元に冷たい感触。
キャッと蜜璃ちゃんは手を口元へ。
対する私は、後ろを見るなり、驚き立ち上がる。
そこにはペットボトルを持った不死川くんがいた。
「悪口が聞こえた」
「不死川くんは、ぼっちだという話を」
「許さねェ」
「あれ、というか早くない?」
「一番乗りだァ」
ふふんと少し自慢げにドヤ顔。
「それはおめでとうさん!!
早くジャージ着て、私が必死に頑張る姿見て応援でもしててね」
「カメラに収めてやるよォ」
「な、」
「顔面崩壊しないようになァ」
「喧嘩売ってる?」
ギャーギャーと叫び合う二人を見て、蜜璃ちゃんは笑って呟いた。
「まるで痴話喧嘩みたいね」
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澪凪(プロフ) - 待ってました!いつも応援してます。こういうの大好き。更新、楽しみにしてますね!! (2021年6月11日 21時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
つぼみ☆体調不良ネタは正義(プロフ) - 夢主がストレスたまりまくってひどい風邪ひいて高熱だして実弥に強制的に早退させられて、後から完全に弱り切って意識朦朧とした夢主を数日間手際よく看病する実弥がみたい! (2021年4月22日 23時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
未澄希(プロフ) - 夢主ちゃんが高熱で無理して授業中に思いっきり倒れて救急車で実弥がめっちゃ焦る話とか見てみたいです!つい最近体調不良ネタ書かれたばかりなのにすみません!!恋愛もの(?)での体調不良ネタキュンキュンする所も多くて好きでして…。応援しています! (2021年4月18日 19時) (レス) id: a0ad16ec48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えみぃ(*´`) | 作成日時:2021年4月1日 19時