10.素敵な絵 ページ12
・
「迫力あるなぁ…」
そして、美術の授業の後半。
お互いに絵を見せ合う時間なのだが、不死川くんの書いた私はなんというか、とにかく強そうの一言に尽きる。
迫力スゴすぎ。
集中線がどこからともなく見えるわ。
「斎藤」
「はーい?」
「これが俺かァ」
あなた以外に誰がいんのよ、と笑うと、マジか…と肩を震わせた。
「俺、こんなに乙女チックなのかァ」
「うん」
「そう見えてるわけだよな」
「うん、これが私のお隣さんの本性」
「違ぇよ」
そして、通りがかった宇髄先生が私達が書いたお互いの絵を見て大爆笑。
「ぶはっ!!こりゃ、派手でいーな!」
「何笑ってんの?!」
「何笑ってんだァ?!」
声がハモる。
そんなのお構い無しにゲラゲラと笑い続ける宇髄先生。
「お前ら、お互いのことめちゃくちゃ分かってんじゃねぇか」
「どゆこと」
「良い事」
「答えになってない」
宇髄先生は「お前ら最高だな!」とバシバシと私達の背中を叩いてくる。
痛い、痛い。
「ねぇ宇髄先生」
ヒーヒー腹を抱えて若干笑いすぎて涙目になった宇髄先生が私を見る。
どんだけ笑ってんの。
「これ持ち帰りたい」
「はァ?!?!」
そして返答はお隣さんから。
不死川くんは全力でそれを拒否する。
「だって、一生懸命書いてくれたわけだし、部屋にポスターみたいな感じで飾る」
「おぉ、いいじゃねぇか!!」
「おい、誰かこのアホども止めてくれェ」
不死川くんの悲痛な思いは誰にも届くことなく、宇髄先生は不死川くんが書いた絵を適当に評価付けて、私にリターンする。
「へへ、大事にする」
「頭のネジ、ハマってんのかァ」
「ばっちし」
「嘘つけェ」
「不死川くんの方こそ、朝から思ってたけど寝癖ついてるよ。”風紀を乱すな!!!!”」
「それ、先生の真似か」
「よくわかったね、似てる?」
「下手くそ」
「そかー、ちなみに誰先生か分かった?」
「……思い出したくもねェ」
「はは、当たり。分かってんじゃん」
美術室の隅っこの方で笑い合う。
不死川くんも私に釣られて頬を緩ませる。
なんか、いいなぁ。
それから授業が終わるまで、ずっと私たちはお喋りをしていた。
・
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
澪凪(プロフ) - 待ってました!いつも応援してます。こういうの大好き。更新、楽しみにしてますね!! (2021年6月11日 21時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
つぼみ☆体調不良ネタは正義(プロフ) - 夢主がストレスたまりまくってひどい風邪ひいて高熱だして実弥に強制的に早退させられて、後から完全に弱り切って意識朦朧とした夢主を数日間手際よく看病する実弥がみたい! (2021年4月22日 23時) (レス) id: 20f17d6d24 (このIDを非表示/違反報告)
未澄希(プロフ) - 夢主ちゃんが高熱で無理して授業中に思いっきり倒れて救急車で実弥がめっちゃ焦る話とか見てみたいです!つい最近体調不良ネタ書かれたばかりなのにすみません!!恋愛もの(?)での体調不良ネタキュンキュンする所も多くて好きでして…。応援しています! (2021年4月18日 19時) (レス) id: a0ad16ec48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えみぃ(*´`) | 作成日時:2021年4月1日 19時