・ ページ21
しばらくは平穏な日常が訪れると期待していたのに、それとは真逆の事態へとことは進んでいった。
TH「文化祭の実行委員だって！面白そう！一緒にやろうA！！」
TH「放課後デートしようよ〜！」
TH「あー！また先に帰ろうとしてる！ダメだって何回言えば分かるの？」
TH「Aは俺の彼女なんだからね！手出したらダメだよ！」
私に対しての求愛行動が激しくなっていった。
彼氏彼女という仮の肩書きを利用し、前にも増して突っかかってくるようになったのだ。
一様うなずいてしまった私にも非はあったので、蔑ろには出来ずにテヒョンに従うしか無かった。
特にテヒョンはスキンシップが多かった。
人とくっついていなければ死んでしまうのではないかと言うほどのくっつき虫で、
いつでもどこでも抱きつかれては引き剥がす。
そんな私たちの光景は最早当たり前となり、すっかりクラス、いや学校中にも馴染んでしまっていた。
でも、テヒョンはそれ以上のことは絶対にしてこなかった。
手も習慣のように当たり前に絡めて繋いでくるのに、そこで終わるのだ。
いきなり初対面でキスなんてしてきたくせに、どういうことなんだろう。
そんなことを考えてしまう自分がいて、心の変化に戸惑ったりもした。
そんな私の人生の中で一番濃いといっていいほどの高校三年が終わった。
そう、卒業を迎えたのだ。
テヒョンと出会ってからの時の流れの速さに少し驚きながらも彼を待つ。
いつかの出会いの日ように、穏やかな春の風に吹かれながら。
私の顔を見ると頬を緩ませ走り出してくる彼はいつも通り。
そこに安心感を覚えてしまう私がいて、改めて自分の気持ちを理解する。
そんな気持ちを彼に伝えたくて、私は彼と距離を詰める。
私の行動に驚いたのか、よろめく彼の腕を掴んで、そっと唇を顔によせた。
これはあの時の、いいや、この一年間分の仕返しだ。
してやったり、という表情を浮かべてやると、みるみるうちに彼の顔が火照っていく。
そんな初めて見る表情がおかしくて笑みがこぼれてしまう。
そんな私につられたかのように笑みを浮かべた彼の表情は少し泣きそうにも見えて、胸が少し苦しくなった。
またも溢れる知らない感情。彼が気づかせてくれるのなら悪いものでは無い。
『やっぱり私はテヒョンが嫌いだよ。』
TH「うん、俺も好き。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くもくもり | 作成日時：2021年3月6日 16時
