彼氏との日常 (ページ15)

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いつもの自信に満ち溢れた面影はそこにはなく、

ただ不安げにその瞳は揺れているだけだった。

『…なんでそんな顔してるんですかっ、あっさり別れようとか言ったくせにっ！』

オッパの気持ちが分からなくて、ついムキになってしまう。

どれだけ私を振り回したら気が済むんだろう。

本当にずるい人だ。

ぼやける視界の中、オッパがキョトンとした表情に変わる。

え、何その変な顔は。かっこいい。

JN「え、だってこれ演技の練習なんじゃないの？」

『は、なんで、ですか？』

JN「だって、Aが女優さんの顔してたから。俺で次のドラマの練習したいのかなって。」

オッパのぶっ飛んだ答えに声も出ない。

…何、女優の顔って…、全部演技…？

『…まって、オッパ、私の女優してるところ見たことあったっけ？』

何とか掠れた声で言葉を紡ぐと、

オッパは当然のように口を開く。

JN「何言ってるの、Aの出てるドラマは全部録画して見てるから。」

知らされた新たな真実に私の頭はキャパオーバー寸前だ。

それにこんなに優しく微笑んでくれるオッパの顔、久しぶりに見た。

もう胸がいっぱいいっぱいで言葉が出てこない。

溢れてくるのは涙ばかりでどんどん視界が滲んでいく。

そんな私の異常な様子に気づいたのか、オッパが少し慌てたように涙を拭ってくれる。

JN「やー、本当にどうしたんだ？理由言ってくれないと分かんないよ。オッパには言えない？」

そういうオッパの瞳は大きく揺れていて胸がまた締め付けられた。

『…っ、オッパが最近冷たかったから、辛かったのっ！』

初めてオッパに言った、自分の本音。

自分の汚い部分をさらけ出してしまうようで、絶対に言いたくなかったのに。

オッパの前ではそんな決意、容易く崩れてしまう。

悔しくて、情けなくて、顔をあげられないでいると、

もう一度強く抱きすくめられた。さっきよりも強引に、強く。

JN「…ごめん、自覚はあったんだ。最近カムバックが近くて忙しくて、余裕がなくて…、なんてごめん、こんなのただの言い訳だよね。」

間近で流れ込んでくるオッパの申し訳なさそうな声色が私の身体ごと揺さぶった。

JN「……本当は嫉妬してたんだ。」

…え？

突然方向転換どころか終着点が変わったかのような話の展開についそう声が漏れる。

チラッとオッパを見上げると、耳が真っ赤に染っていた。