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-S.I ver 1- ページ7

「ねぇ、猪狩くんに何あげるの?」
そう言って友達は私に顔を近づける。
「何って…だって別に彼氏でもないし、多分向こうも何も思ってないし…」
といえば、つまんないのーって言って食べかけのお弁当に再び向きあう。
別にただの友達。その距離が心地よい。ただ暇があれば話すだけ。一緒に帰ったりするし、一緒に遊びに行ったこともある。
でもその時間が私には本当に幸せで、かけがえのないもので。出来るなら、1番でいたいとも思う。

バレンタイン前日。登校して早々友達に飛びつかれる。
「ねぇちょっと!猪狩くん先輩に告白されてたらしいよ!」
朝からハイテンションで伝えられても、私の頭が追いつかない。まあでも猪狩くんだもんね。だってかっこいいし、話面白いし、
そばにいたいって思う人 私以外にいてもおかしくない。
そうだ。これは必然。
そう思えればいいのに、なんだかうまく笑えなくて、ごめんトイレって言って教室を出る。
1人になるとますます寂しさは募って、なんだかなぁって気分になって。

結局本人の口から聞けないまま、1人で帰る。こんな時にはいつも本屋さんに立ちよって雑誌を立ち読みする。
気持ちを切り替えられるって思ったけど、今はバレンタイン直前。なんかどれも傷口に塩を塗られている気分。思いっきりため息をついて出ようとすると、目にとまった1つのポップ。

ユーモアたっぷり!友チョコにオススメな変わりダネバレンタイン!

ああ、今の私にこのぐらいがちょうどいいかなって思って、ポップの雑誌を見る。
その中で扱っていた金貨チョコをよりリアリティにする方法というページを眺めて、これにしようと思った。
帰り道で金貨チョコと、金粉のようなものを買って、ついでだから銀行の封筒のようなデザインのパッケージの袋も買った。
帰って雑誌のを見よう見まねで再現する。案外うまくできるもんで、ちょっと才能あるのかなーなんて思ったり。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:花奏悠 | 作成日時:2019年2月12日 23時

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