-R.H ver 2- ページ6
もちろん午前中は授業どころじゃない。
なんて言って渡すべきか？それ以前に今朝の行動でひかれてないか？
いろいろ考えてると、まとまらないうちに昼休みになってしまった。とりあえずリップクリームを塗り直して、先輩の学年フロアに向かう。
自分だけ違う色のタイで目立っていて、別に誰も見ていないのだろうけれど、皆に見られている気がしてたまらなかった。
教室の前に行くと、人が多くて橋本先輩を探せない。オドオドしているとねぇって話しかけられた。振り返ると瑞稀先輩で。
「何してるの」
ちょっと不機嫌そうな瑞稀先輩。手にはたくさんの袋があって、私がちょうど教室の出入り口を妨げていた。
「ご、ごめんなさいっ」
と言ってドアから離れると、
「もしかしてはしもっちゃん？」
と聞かれる。なんでわかったのってびっくりしてると、瑞稀先輩はなるほどねって1人で納得して教室の中へ消えてしまった。
それからすぐ、教室から会いたかった人が出てくる。
「ごめんね気づけなくて。どうしたの？」
変わらずさわやかに先輩は聞いてくるから
「あのっ、いつも先輩のこと見てて、えっと…どうぞ！」
そう言って持ってきた手作りチョコを先輩の胸に押しつける。わわって少しびっくりしながらもしっかりと受け取ってくれて。
「ありがとう」
て言いながら頭ぽんぽんってされたから、もう私の体温は跳ね上がったんじゃないかな。
耐えきれなくて、それじゃっていなくなろうとすると、腕を掴まれて。それだけ？って顔される。
アワアワしながら繋がれた手を見てると、
「あんま話したことないじゃん？だからさ、もしよかったら今日は一緒に帰ってみない？」
いつもより甘い表情で言われるからさ、もう耐えきれなくて是非ってだけ言って立ち去った。
先輩、意識してるのって
もしかして、私だけじゃないですか？
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作者名：花奏悠 | 作成日時：2019年2月12日 23時
