理想のチョコの渡され方-HiHi Jets- (ページ12)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:1,226 hit

-R.H side 1- ページ12

今日も乗ってるあの子。
井上瑞稀と一緒に登校してるとたまに見かける。名前は知らないけど、俺らのことチラチラ見て、目があうと顔真っ赤にしてそっぽむくの。瑞稀には言ってないけど、多分俺が気になってることばれてると思う。

明日はバレンタイン。瑞稀ともそんな話題になると、はしもっちゃんはさ、と切り出される。
「貰いたい子いる？」
パッと浮かんだのは電車のあの子。でも名前も知らないし、なんなら俺の自意識過剰なだけかもしれないって思って。
「いないかなぁ」
なんて答えたら、瑞稀は少し笑って、いやその間が本当の答えでしょって言う。やっぱり瑞稀には全部ばれてそう。

2月14日。なんか眠れなくて、完全に遅刻した。瑞稀にもごめんって連絡入れて急いで駅へ向かう。この時間の電車はあの子はいないし人は多いしもう最悪。そんなことを考えて、電車に乗り込んだ。

やっぱり一段と人が多い。こんなの2度と乗りたくねぇって思ってたら、人混みの中に見覚えのあるマフラーが見える。
絶対あの子だ。同じマフラーの人なだけかもしれないけれど、なぜかその時の俺は確信していた。電車のアナウンスで降りる駅だと気づくけれど、彼女の位置ではとても降りられそうにない。
「すみませんっおります！」
その声が聞こえて、俺は思わず人混みの中に見えた彼女の手を引いて、ホームへと連れ出した。
「あっぶなかった～」
そう言って笑いながら彼女を見ると少し驚いているようだった。俺、いつも通りでいられてるかな？
「君も寝坊？」
と聞けば
「は、ふぁい！」
っていうから思わず、何その返事って笑ってしまう。
彼女は少し戸惑いながら
「ありがとうございます！」
と言って頭を下げた。
本当はちゃんと話したいけど、この後瑞稀に苺みるくを買って渡さなければいけないことになっているから、
「全然大丈夫。俺すぐ学校言って瑞稀に謝んないといけないから、先行くね」
そう言って学校へ向かおうとする。少し期待したけど、まあ会えただけいっかって思ってたら、あのって引き止められる。えって思って振り返れば彼女がこちらにかけてくる。
「先輩っ、昼休みって予定ありますか？」
何それ、俺期待しちゃうよ？って思ったけど、出来るだけ顔に出さないで、今日は特にないかなーっていえば、教室に行きますなんて言われて。
うわぁ俺にやけてないかなって心配しながら、出来るだけいつの通りの笑顔で彼女と別れる。