305話 ページ5
血を流しに川に行くついでに体を洗う
朝風呂ならぬ夜滝浴びだ
この川を渡れば早いんだけどな
朝起きて俺が血まみれだった、なんてトラウマの他でもない
｢魚……｣
目の前を通った1匹の魚
朝飯にしよう
それに付いてくる魚の群れを服で思いっきり掬う
これだけあれば十分だ
持ってきていた服に着替えアイツらのところに戻っておく
もちろん誰も起きていなくていい夢を見ている顔をしている
まだ恐らく朝の2時
川で考え事をしすぎた
火を焚き寒くないようにしてやり
魚を捌く
肝、内臓、身、骨
安心して食べられるように1匹、1匹丁寧にする
木を研ぎ、魚を刺し水につけ、その間に木の実を取る
ふと、寝床に戻って気がつく
この熊達はどうすればいいんだ
いや、朝飯に魚と肉はいいのか？
まあ、食べ物が沢山あるに越したことはない
捌いておこう
幸いまだ時間は沢山ある
また手作業で熊を解体していく
このクマの皮は毛布にすると暖かそうだ
寒がっているやつがいたら掛けてやるか
いや、でも潔癖な奴にとってこれは最悪だ
やめておこう
気がつけば太陽も登り熊の調理をしているうちに4時になる
耳をすませば合宿所が朝、小さく流す早朝の音楽が聞こえる
この音は睡眠をより深くするからもしかするとコイツらも眠りが深くなったのかもしれない
真田は確か毎日4時に起きているはず
となると4時15分頃に起きるか
いつもと違い寝床、空気、昨日の行動
全てが違うんだ
さすがに体内時計もズレる
予想通り少し経ってから真田の気配が強くなった
｢おはよ、朝飯を食べるなら温めるからそこで待っておくか川で水を浴びるといい
準備はしてある
どうする？
座禅をするのは確か30分頃だよな？
あと、15分あるぞ
あー、剣道の稽古をするなら手合わせも出来るが
任せる｣
久しぶりに徹夜をしたせいからしくないことをしてしまう
千歳に会いたい……
｢む、それはありがたい
ではまず水を浴びてくるとする
その後に共に座禅でもどうだ
そして手合わせをしようじゃないか
朝飯の準備がまだなら俺もしたい｣
｢わかった。向こうに物は置いてあるし更衣室もどきも作っておいた
朝飯の準備はもう終わった。ありがとう｣
まるで新婚だな
そんなことを考えながら見送る
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作者名：I like choco. | 作成日時：2021年8月25日 23時
