322話 ページ22
｢遅かったな｣
日本の空港に着くと鳳凰兄さんたちがいた
一軍全員集合だ
｢兄さん！会いたかった！久しぶり！｣
パパが気を使って連絡してくれたんだろう
彼らにしか帰国は伝えていないから
｢相変わらずだな｣
竜次兄さんは今ポリアモリーを伝える活動をしているから海外で1度会えたことがある
その時以来だ
｢うん、兄さんもね｣
車に乗って着いた先は懐かしい我が家
今日は合宿退去の日
きっと部屋で最後の時間に思いをはせているんだろうな
｢兄さんたちも見送りに？｣
種ヶ島｢いや、U-24への招待や｣
｢よかった。それは私がやるよ｣
私、少しづつ言えるようにもなった
自分を赦すことが出来なかったけど海外で過ごしていくうちに変われた
｢U-24の親元、私に変わったから
少し高い買い物だったけどいい買い物をした｣
へへっと笑えばやれやれと言うように皆が笑った
｢じゃあ未来の選手を迎えに行ってくるよ｣
｢もう返事は貰っとったんか？｣
｢ううん、これから｣
｢気が早いわ！｣
そんな冗談を言って幸村の部屋に足を向かわせた
1人で歩くその廊下は3年ぶり
皆がいる階には足を運ばなかったから
コンコン、とドアを叩くと足音が聞こえた
気配がひとりじゃない
10人ってことは日本代表たちか
どうぞー、という声が中から聞こえたのでドアを開けて部屋に入るとたくさんの靴が予想通りある
｢え！？A！？｣
驚いた表情の幸村の顔を見てニヤッと笑う
｢やあ、幸村。久しぶりだね
会社が見つからずに困ってると聞いたが……
私の会社はどう？
新しい事業に手をつけようと思ってね｣
人数分の招待状をトランプカードを持つように見せつけ誘ってみる
｢え。まって
頭が追いつかない、どういうこと？今まで何してたの？心配したんだから｣
幸村はなんとか動いているが他は固まって動きもしない
｢海外でボランティアをしていたんだ
すると幸村たちがいい会社に恵まれていないって聞いてね
U-24もダメなら運がいい
私がもらおうと思って
新しい会社を作るのもいいんだけど兄さんたちも欲しかったからU-24を買ったの
それで今は私がトップだから直々にお誘いをしに来たってこと
……それで返事は？｣
幸村はしばらく考え込んだあと理解するのはやめた、というような顔をして俺を見た
｢契約してください。社長｣
｢サインはここにハンコね
詳細は今から変わるから気にしないで
これは前のだから
明日には正式なものを作らせるから
で、固まっている9名も同じ返事でいいの？｣
その質問にだけ縦に首が動いていた
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作者名：I like choco. | 作成日時：2021年8月25日 23時
