立海には問題児がいる

177話 ページ27

Aは切原を優しく抱きしめる

大切なものを守るように
力を入れないように
母親が赤ん坊をあやすように

そして頭ポンポンする

自分の記憶を辿りながら






赤也は多分レギュラーの重みが辛くなったんだよな…

でもこれはどうしようもねえし、



泣いて泣いて泣かせて

落ち着かせるか

それでほっといて

そうしよう


〜 〜 〜 〜

幸村｢A、帰ろ｣

ごく自然に声をかける

A｢無理、先に帰れ、マジで｣

それに対しAは低い声で拒否る

幸村｢ねえ、もう1ヶ月経ったよ？｣

幸村は怒りを含んだ声で問う

A｢まだ、待て｣

それでも幸村の目を真っ直ぐ見て

言うA

幸村｢･･･分かった｣


そんなAに圧倒され頷いてしまう


まだ

最近ストーカーされてっから

あいつらに迷惑かける訳にもいかねえんだよ

もしヤクザだったらヤバいし

あと少し待ってくれ



電車


ガタンゴトン

満員電車椅子に座ることも出来ず

手すりを掴むことも出来ず激しい揺れに耐える

体が押しつぶされそうになりながら

サンドウィッチ状態を耐える

皆こんなんだ

電車｢つぎは……稲村ヶ崎稲村ヶ崎(いなむらがさき)｣

駅に着くと沢山の人が降りていく





ふらっ

バタン

人が倒れた

車内はパニック

｢｢｢キャー！｣｣｣

｢｢｢っ！｣｣｣

辛そうに顔を歪める倒れた人

男の人｢おい！駅員！駅員！呼んでくれ！｣

大声で指示を出す男性

Aのカバンから学生証を取り出し

女の人｢立海大！立海大附属中学校！
3年B組！AAさんよ！
学校に連絡を！｣

学校に連絡を頼む女性

駅員｢Aさん！Aさん！聞こえますか！
聞こえたら合図してください！聞こえますか！
Aさん！Aさん！」

様態を確かめながら声をかけ続ける駅員

駅員女｢ストレッチャーを！｣

A｢うっ…ｶﾞﾊｯ!｣

｢｢キャ！｣｣

口から鉄の味がする

口いっぱいに


あ……血吐いたんだ

勿体ない

電車も汚れたな……

俺はそんなことを考えながら声にならない痛みに耐える


誰に連絡する気だ

パパ？

学校？

ダメだ迷惑掛かる

今すぐに立ってどこかに行かないと

迷惑掛かる




うっ


立てねえ………

力入れても入んねえし

やばいかもな…………

178話→←176話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す