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心底嫌そうな顔をする先輩は、けれど動こうとはしない。かといって話してくれるかというとそういうわけでもないらしい。ふぅん、ああそうですか。


「先輩、はい」

「あ?」


笑ったまま空いた手の平を先輩に見せる。怪訝な顔をする彼は意味がわかっていないらしい。


「私のこの手、触れます?」

「……何言ってんだ」

「触れますか? 先輩」


また沈黙。触る気は無いらしい。逃げる気は無し、手を触ることもしない。そんでもって、さっきの刀の空振り。
うーん……なんとなぁく、わかった。


「先輩、もしかしなくても血鬼術かかりました?」

「っ……」

「その反応は当たりですね? さっきの刀の空振り、この状況で逃げようとしない……そういえば、さっき走ってる時もなにか言ってましたよね? 危ねぇ、だとかなんとか」

「…………」

「私そんな危なかったですか? 腕は引っ張ってましたけど、先輩なら問題ない速度だったでしょ? 鬼は追いかけて来る気配もなにかしてくる様子も無かったし。…………ああ、それとも」


かちり、としっかり先輩と視線を絡めて、聴こえる様に。


「──私が木にぶつかって行く様にでも見えました?」

「っ……!」


先輩が目を見開いた。視線からは“どうして?”“なんで?”と声がする。ニンマリ笑ってしまったのは許してほしい。


「当たりかー! いやー先輩わっかりやす! 思ったより隠し事が下手ですね?」

「っ、うるせぇ!」

「おっと危ない。落ち着いてくださいな。当たりませんから」


ひょいっと突き出された先輩の拳を避けずにそう言えば舌打ちが返ってきた。今の攻撃も私から少しズレた所に導線がいっていて、避けなかったと言うよりかは“避ける必要が無かった”のだ。


「目の前の物の位置をズラす血鬼術ですか? また厄介なものにかかりましたねぇ」

「…………」

「あら悔しそう。その顔は……なんか開けちゃいけない扉開けそうなのでやめてもらえません?」

「気持ち悪ィ」

「誰のせいだと」


心外な、と言わんばかりに眉を寄せると目を眇められた。えーん怖いよぉ。冗談だけど。

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ユズヒ(プロフ) - たまごさんさん» おっとそのパターンは予測してなかったですね……? 美味しく味付けして食べてくださいね……。おやすみなさい!たまごさんさん(?)も風邪など引かれないようお気をつけて!! (2020年2月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - ではおやすみなさい、体調崩されないようお気をつけください! (2020年2月5日 23時) (レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - くそぅ…間に合わなかったか…Rainさんもっと語彙力落としてください(失礼)それかユズヒさんを食べます! (2020年2月5日 23時) (レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - たまごさんさん» コメントありがとうございます! 因みにRainさんの語彙力は私が美味しく頂いたのでカケラも残っておりません。大変美味しゅうございました……(カップラーメンを眺めながら) (2020年2月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» いくら言葉があれでも声がよければ全て良しとなる…ここはそんな世界……。とんでもないです! 明日を楽しみにしててくださいね……!! (2020年2月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年12月8日 16時

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