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「鬼ですか」
「そうなの。おかしいでしょ?」
目的地の道中にあった団子屋。情報収集と称して来てみれば、店員である彼女は華やかに笑ってそう話してくれた。
隣でむっすりと草団子を食べる先輩は特になにを言うでもなく、けれども恐らく話は聞いている様子。団子屋に入るの反対してたわりには食べるのね、団子。
彼女が言うには、この先の森に関することで最近妙な噂が立っているらしい。曰く、この先の森には鬼が出る、と。
噂が立ち始めたのは一ヶ月ほど前。最初は森に入った人間が帰ってこない、程度のものだったのが、ある日森から唯一帰ってきた人間が怯えきった顔で「あの森には鬼がいる」と口にしたのだそうだ。というより、それしか口にしなかったのだという。
「鬼なんていないと思うんだけど……きっと熊か何かを鬼と勘違いしてしまったのよ。人が帰ってこないのも、森で迷ってしまったのね。あの森は入り組んでて迷いやすいって昔から言うから」
「そうですかぁ……」
もぐ、と団子を口にする。店員さんはごゆっくり、と言葉を残して店の中に引っ込んでしまった。入り組んだ森、ねぇ。
「……どう思います?」
「何がだ」
「今の話」
「鬼がいるのは確定だろ。だから俺達がここにいる」
「ですよねぇ。それにしても……」
引っかかりを覚えているのは確か。鬼がいるのはもちろん確定。けれど、鬼がいるからとそう毎度毎度森に入った人間が帰ってこれないものなのか。
……可能性としては。
「血鬼術だろうな」
「でしょうね。迷うって分かってて対策も無く森に入るなんて命捨てるみたいなもんでしょ。対策はしたけど血鬼術で外に出れなくなったか、それか鬼に喰われたか。森が広くて一人しか帰って来てない点から、鬼が複数ってのも考えられるかと」
「お前、そういう系統の血鬼術を使う鬼と戦ったことはあるか」
「ありますね。直接戦ってはないけど、場所が変わって部屋が回転する血鬼術を体験したことは一度だけ。あと、鬼が複数いて山に入った人間を一人残らず喰うかしてるのにも会ったことが」
前者は炭治郎と善逸と入った屋敷。後者は那田蜘蛛山。屋敷は鬼の血鬼術で道が塞がれ外に出ることができない状態、山は鬼が複数いた為外に出れない状態……というより、出るより先に殺されてしまう状態。
今回の鬼は、この二通りのどちらかだと思う。それとも両方か。
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ユズヒ(プロフ) - たまごさんさん» おっとそのパターンは予測してなかったですね……? 美味しく味付けして食べてくださいね……。おやすみなさい!たまごさんさん(?)も風邪など引かれないようお気をつけて!! (2020年2月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - ではおやすみなさい、体調崩されないようお気をつけください! (2020年2月5日 23時) (レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - くそぅ…間に合わなかったか…Rainさんもっと語彙力落としてください(失礼)それかユズヒさんを食べます! (2020年2月5日 23時) (レス) id: e187441fa2 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - たまごさんさん» コメントありがとうございます! 因みにRainさんの語彙力は私が美味しく頂いたのでカケラも残っておりません。大変美味しゅうございました……(カップラーメンを眺めながら) (2020年2月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» いくら言葉があれでも声がよければ全て良しとなる…ここはそんな世界……。とんでもないです! 明日を楽しみにしててくださいね……!! (2020年2月5日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年12月8日 16時