* ページ36
けれども、さて。どうしたものか。
神様には自分のことはあまり言うなと言われている。でもこれはちょっと……えぇ……?
言わなきゃ私どうなんの? 想像できなくて怖いんだけど。斬って捨てられるとか? は? こわっ。
「どうかしたのかな?」
「色々思案しておりまして」
「思案?」
「殺されるならどっちがマシかなと」
「おや、物騒だね」
にこにこ笑われてるけど事実である。これ言わなかったらほんとにマジで私ってばどうなるの? え、死? 言ったとしても神様から殺される? ありえるな。殺されないかもしれないけど、その場合は地獄の稽古一週間コースって感じ?
すごい。右見ても左見ても地獄。なんなら前も後ろも上も下も地獄。なんだこれ。
あああああ後ろからの視線が!! 怖いよお!! 殺意が篭ってる!! 私!! 死んじゃう!!! あとなんで!! その視線の中にときめいてる感じの視線があるの!? 場違いにも程があり過ぎない!!??
はあ、と息を吐いてとりあえずもう一回心を落ち着ける。なんだろ、なんか今日心臓に悪いな。
腹を括ろう。これはちょっと私が神って名乗るにしろ名乗らないにしろ根掘り葉掘り聞かれることは間違いないだろうし、もし私が神だって肯定したとして、その根掘り葉掘りを上手いこと誤魔化せるかと言われると答えはノーだ。私はそこまで器用にできていない。
ならばもう。
本当に馬鹿のひとつ覚えで申し訳ないけれど、素直に答えるのが一番の最善なんじゃなかろうか。……ほらそこ、思考放棄したなとか言ってんじゃないよ。実際にここ来てみろよ。怖すぎて死ぬぞ。
「えっと……その、私はあの山の神じゃないです」
「そうなのかい?」
「私じゃなくてもう一人……確か、あの人がもう一回山に入った時に会った奴がいると思うんですけど……」
ちらりと粘着質ストーカー……もとい義勇さんを見てみる。ぱちりと視線が絡むと、彼は少し驚いた様に目を見開いた。
「報告にあった、あの風を操る鬼のことかな? 討伐はできなかったけれど、周辺の人間を喰うということはしなかったみたいだね」
「鬼……? え、待ってください。山に入ったの夜なんですか? え、昼ですよね?」
え、なんで鬼? 鬼って昼に活動しないじゃん。例外はあるけど。は?
731人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユズヒ(プロフ) - 神月莉乃さん» コメントありがとうございます! すみません、こっちの準備を整えてからパスワードを外そうと思い遅くなってしまいました…。もうパスワード保護は外して全体公開にしているのでぜひ読んでくださいね!! (2019年12月8日 16時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
神月莉乃(プロフ) - もしかして続編ってパスワードかけてるやつですか?出来ればパスワード外してくれると嬉しいです!身勝手なお願いをしてしまい申し訳ないです…続編を出すならパスワードなしにしてもらえると嬉しいです!更新待ってます! (2019年12月8日 16時) (レス) id: a219a83582 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» いいですよねあのシーン。私も好きです! 柱からしてみれば本当に得体の知れない存在ですからね…。人間分からないものは恐れてしまうもの…。あの二人のあのシーンを書きたいがために頑張りましたとも!! 優しい!! 世界!! (2019年12月2日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 一日に何回コメントするのこの馬鹿夜美は。でも、生殺与奪の権って言葉が出てきて、あー!ってなりました。そのシーン好きなんです。柱から恐れられる(?)って相当だなぁ。そしてやっと帰ったぞ蝶屋敷ぃ!優しい人が多いねえ。紋逸と権八郎はナイス! (2019年12月1日 23時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - jolinさん» コメントありがとうございます!! ハマってくれて嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー!! (2019年12月1日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月22日 21時