【鬼滅の刃】神様の巫女 陸

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時刻はお昼ぐらい。場所はなんかよくわからんおっきいお屋敷の綺麗な庭。足場は真っ白な砂利。後ろには真っ直ぐ一列に並んだ強そうな人達が頭を下げていて、目の前の縁側？ 違うな。大きい部屋には黒髪の男性が二人の女の子を両側に立たせて私を見下ろしている。

私はと言えば、身体がろくに動かないってのに両腕縛られてその人の前に出されてて、正直なんかもうぶっ倒れたかった。現実逃避が捗るとかそんなレベルじゃない。そんなことやってられない。

しかも後ろの列にはいつぞやの粘着質ストーカーもいる。さっき見た時に「あ、貴方……あの時の……」って言ったら少し驚いた顔されたし周りが「知り合いか？」とか少しざわついた。
そういやあの時私お面で顔隠してたんだったわ。素顔では初めましてだ。

そんでもってなにが嫌かってまあ色々あるんだけど、なにより嫌なのはその列に美丈夫がいるってこと。わかる？ 美丈夫がね？ いるんだよ？？ 目視して認識した瞬間から鳥肌と嫌悪がまあすごい。顔に出た。耐えられなかった。
おかげでその美丈夫から怪訝な顔されましたけどなにか？ 全てはお前が美丈夫なのが悪い。私は悪くない。…………多分。


…………さて。どうして私はこんな目に遭っているんだろう。今日のうちに隠？ とかいう人達に攫われてこんな仰々しい所に連れてこられたわけだけど、私ってばなにかしたかしら。あ、嘘です心当たりあります。禰豆子ちゃん関係ですかね？？
なんか炭治郎も来てた？ みたい？ だからその件かな。鬼の隠匿について、とか。っは〜〜〜地獄でちゅ〜〜〜。嫌な予感大当たり〜〜嬉しくな〜〜〜い。


「さて」


落ち着いた声が響いて、私の頭からなんやかんやが吹き飛んだ。と同時にばくん、と心臓がひとつ大きな音を立てて反射的に顔を上げる。
声の主は目の前の男性。顔の上半分が爛れて紫色になっていて、目はきっと見えていない。その人が、言葉を発したのだ。

今の、声は。この声の感じは。
ああ、ああ、聞きたくない。現実だと受け入れたくないやめてほしい勘弁してほしい許してほしい。
だって私は、未だに昔のことをずるずる引きずっているんだから。


「いきなり呼び出してすまないね。君にいくつか、聞きたいことがあるんだ」


よりにもよってどうして、その手の声なの。

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