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ちゅん、ちゅ、ちゅん。
可愛らしく鳴きながら跳ねる雀の足元は白かった。それを下に下にと見ていけば、白からはみ出した黄色があって、きょとんとした二つの瞳が顔を覗かせている。
周りには包帯でぐるぐる巻きにされた何かしらが転がっていて、忙しなく走り回る黒い服を着た人達が数人。
かく言う彼も全身包帯でぐるぐる巻きにされ、なんならご丁寧に“治療済み”とまで書かれた札をさげられていた。彼こと善逸は何を言うでもなく木に寄りかかったままその様子を眺めている。
「(ぐるぐる巻きにされた……)」
ぱたぱたと走り回る人に、指示を出す少女。包帯で巻かれた人達は皆横たわっている。
「(何だこいつら……何かすごいテキパキ後始末してんだけど……。それにあの子、最終選別にいた子じゃないか。俺達をぐるぐる巻きにした女の人と似た髪飾り……)」
こちらも、蝶屋敷へ?
そう。怪我人は皆うちへ。付近の鬼は私が狩るから、安心して作業して。
背に“隠”と書かれた黒子の様な人にそう言った少女は、確かに最終選別にいた少女だった。
善逸は彼女の名前も知らなけれど、ぼろぼろの自分達と違って汚れ一つなく最終選別の最終日に集まっていたということは覚えていて。
……まあ、自分の隣にも汚れ一つなく生き残った少女がいたのだけれど。
「(そういえば聞いたことがある。事後処理部隊、“
「うへぇ、人とよくわからんものがいっぱいだぁ」
聞き慣れた声がした。沢山の音で、近づいてくる音が聞こえなかったから少し驚いてしまったけれど、この声は知っている。
「っていうか善逸、包帯ぐるぐる巻きじゃん。え、なに、大丈夫なのそれ」
視線を声がした方、つまりは自分の右斜め上に動かせば、そこにはあれほど自分が“山に入るな”と言って聞かせた少女が一人、自分が背を預けている木に立ったまま寄りかかっていて。
自分に声をかける彼女はどこかぼろぼろで、左腕には血が滲んでいる。
は? と頭が一瞬思考停止して、またすぐに動き始めたかと思えば善逸は目を剥いて声をあげていた。
「ンン゙ン゙ーーー!!??」
「うわうるさ……。ぐるぐる巻きにされてるくせにうるさいし思ったより元気ね……」
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ユズヒ(プロフ) - 神月莉乃さん» コメントありがとうございます! すみません、こっちの準備を整えてからパスワードを外そうと思い遅くなってしまいました…。もうパスワード保護は外して全体公開にしているのでぜひ読んでくださいね!! (2019年12月8日 16時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
神月莉乃(プロフ) - もしかして続編ってパスワードかけてるやつですか?出来ればパスワード外してくれると嬉しいです!身勝手なお願いをしてしまい申し訳ないです…続編を出すならパスワードなしにしてもらえると嬉しいです!更新待ってます! (2019年12月8日 16時) (レス) id: a219a83582 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» いいですよねあのシーン。私も好きです! 柱からしてみれば本当に得体の知れない存在ですからね…。人間分からないものは恐れてしまうもの…。あの二人のあのシーンを書きたいがために頑張りましたとも!! 優しい!! 世界!! (2019年12月2日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 一日に何回コメントするのこの馬鹿夜美は。でも、生殺与奪の権って言葉が出てきて、あー!ってなりました。そのシーン好きなんです。柱から恐れられる(?)って相当だなぁ。そしてやっと帰ったぞ蝶屋敷ぃ!優しい人が多いねえ。紋逸と権八郎はナイス! (2019年12月1日 23時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - jolinさん» コメントありがとうございます!! ハマってくれて嬉しいです!これからもよろしくお願いしますー!! (2019年12月1日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月22日 21時